横山華山(1781/4~1837)は江戸時代後期の京都で活動した絵師。幼い頃から奇想の画家と呼ばれる曾我蕭白(1730~1781)に傾倒し、京都画壇の一派である岸派の岸駒に入門。さらに、四条派の呉春(1752~1811)を模範とし絵の幅を広げるなど、多くの流派の画法を身につけた。
そんな華山の画業をたどる展覧会「横山華山」が、東京ステーションギャラリーにて開催される。
華山は諸画派に属さず、画壇の潮流に左右されない、自由な画風と筆遣いで人気を博す。その名声は日本中に広がり、他の絵師たちにも大きな影響を与えた。しかし現代においてはほとんど忘れられた存在となっており、その画業を系統立てて紹介する展覧会が本展が初の試みとなる。
なかでも注目したいのは《祇園祭礼図巻》。これは江戸時代後期の祇園祭の全貌を、上下巻あわせて約30メートルに渡って克明に描かれた華山の集大成とも言える作品だ。
華山の名は、海外では早くから評価され、その優品が何点も欧米の美術館に収蔵された。日本でも夏目漱石の『坊ちゃん』や『永日小品』に登場するなど、明治時代までは国内でも知られていた。
本展は、ボストン美術館から《寒山拾得図》はじめとする5点、大英博物館から3点と、明治時代初期に海外に渡った作品も展示。また《祇園祭礼図巻》の下絵である「祇園祭鉾調巻」などの貴重な資料も初公開。知られざる絵師の作品をあらためて振り返りながら、その実力を堪能したい。