EXHIBITIONS

横山華山

Kazan - A Superb Imagination at Work

横山華山 祇園祭礼図巻(上巻部分) 天保6-8(1835-37) 個人蔵

横山華山 祇園祭鉾調巻(祇園祭礼図巻下絵) 部分 京都市立芸術大学芸術資料館

横山華山 寒山拾得図 ボストン美術館 William Sturgis Bigelow Collection Photograph © Museum of Fine Arts, Boston

横山華山 唐子図屛風(左隻) 文政9(1826) 個人蔵

横山華山 唐子図屛風(左隻部分) 文政9(1826) 個人蔵

 諸画派に属さず、画壇の潮流に左右されない自由な画風と筆づかいで人気を博した江戸時代後期の絵師・横山華山。幼少期から曾我蕭白(そが・しょうはく)の作品に触れ、岸駒に入門、呉春を模範に絵の幅を広げ、多くの流派の画法を学んだ。

 いち早く、アーネスト・フェノロサら海外の研究者やコレクターに注目され、欧米の美術館がその優品を所蔵。日本では夏目漱石の『坊っちゃん』『永日小品』にその名前が登場したことから、没後しばらくの明治時代まで国内でも知られていたとされる。しかし、幅広い画域を持つ規格外な面は美術史では分類が難しいこともあり、今日まで紹介される機会が少なかった。

 本展は、華山の多彩な画業を系統立てて紹介する初の回顧展。明治時代初期に海を渡った縦3×幅2メートルの蕭白風の大作《寒山拾得図》をはじめ、ボストン美術館から5点、大英博物館からは3点が里帰りするほか、蕭白と横山家の深いつながりが窺える「横山家宛書状」、加えて『江戸名所図会』『武江年表』の著者・斎藤月岑が『東都歳事記』の執筆にあたり、年中行事の挿図を華山に依頼したことがわかる書状など、貴重な史料も公開される。

 臨場感のある構図で、山鉾や神輿などの祭列、店先にいる人々までをも豊かに描き出した代表的な風俗画《祇園祭礼図巻》や、人物の顔の陰影が近代的な画風を感じさせる《唐子図屛風》といった華山ならではの作品と、曾我や弟子たちの作品をあわせた約100点を通し、知られざる画業とその魅力に光を当てる。