ローマやパリなどで開催され、日本でも東京都美術館や豊田市美術館で開催された「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」が札幌・芸術の森美術館巡回。9月24日まで開催されている。
貴重なプライベート・コレクションを中心に選び抜かれたおよそ100点を通じて、16世紀フランドルを代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世にはじまり、その才能を引き継いだ息子のピーテル・ブリューゲル2世、ヤン・ブリューゲル1世、その後およそ150年にわたって脈々と続いたブリューゲル一族の画業を辿る本展。出展作品のほとんどが、北海道では初公開となる。
一族の祖であるピーテル・ブリューゲル1世は、ヒエロニムス・ボスの様式を取り入れた絵画や版画で人気を博し、「第二のボス」と呼ばれたが、ボス作品がキリスト教的な善悪の価値観を明確に示すのに対し、ピーテル1世はより冷静で中庸な目で現実の人々を見つめている。彼のその「観察眼」はふたりの息子と子孫たちへと受け継がれる。
長男ピーテル2世は、父の作品の忠実な模倣作を制作し、その様式を広く世に広めるのに貢献した。次男のヤン1世は、父の自然への関心を受け継いで発展させ、「花のブリューゲル」などと呼ばれるほど、多くの花や静物画の傑作を残した。そして、その息子ヤン2世は、父の遺した工房と未完成作品を引き継ぎ、寓意画や神話画を得意とする画家となる。こうして、ブリューゲル一族は、150年に及ぶ類まれな芸術伝統を確立していく。
本展では、ピーテル1世からひ孫のアブラハムらに至る4世代の画家たちと同時代のフランドルの画家たちが描いた宗教画、風景画、風俗画、静物画など様々なジャンルの作品を通じて、注意深い自然観察と精緻な細部描写というネーデルラント地方の伝統、そして、ブリューゲル一族に脈々と受け継がれた画家の魂を感じ取りたい。
なお、同展覧会は札幌に続き、広島県立美術館、郡山市立美術館への巡回が予定されている。