写真の魅力に囚われ、写真になった男。山田弘幸の失踪後初の展覧会が開催
「写真の中に入る」ことを失踪によって果たした山田弘幸の個展「写真になった男」が、京都のARTZONEで開催される。会期は2018年6月16日～7月16日。
山田弘幸は1975年香川県生まれ。彫師の職をやめ中米での滞在を経て、2011年頃より独学で写真の制作を始めた。「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2016」のグランプリの副賞として、翌年に東京・恵比寿のG/P galleryで個展を開催。これまでの作品をアーカイブ形式で展示した「Archived/Nosotros」は、好評につき会期が延長された。そして17年5月13日に開催されたトークイベント内で、「写真のなかに入りたかった」と発言。その後すべての作品を同ギャラリーに託し、失踪した。
「写真のなかに入ること」を望んだ山田は、本展覧会を構成するための中心となる作品、セルフ・ポートレートのシリーズ作品「Padre」シリーズを制作。幼くして亡くした父を題材にした本シリーズで山田は、生前の父の姿をスクリーンに投影し、そこに自身の身体を重ねるように撮影している。
本展は山田の失踪後、初の展覧会であり、作者の失踪によって完成したともいえる「Padre」シリーズが初めて展示される機会でもある。山田が残した作品を目撃したい。