手仕事の痕跡と、作品が残す「問い」
──技術的なサポートが当たり前になった現在でも、あなたは可能な限り「手仕事のプロセス」を見せたいと語っています。デジタル技術やAIによってイメージや物がますます容易に、そして滑らかに生成される現在、手でつくることや、制作の痕跡を残すことにはどのような意味があると考えていますか。
マルジェラ 私は昔からDIYが好きで、自分の手でものをつくることに大きな喜びを感じてきました。だからこそ、ときに忘れられがちな、私にとって大切なそうした側面を作品のなかで見せることに誇りを感じています。
テクノロジーではなく、人の手が介在した痕跡を感じてもらえることに、私は心を動かされます。もちろん、それは必要なときにテクノロジーを使うことを拒んでいるという意味ではありません。
──あなたは「答えを示すよりも、問いを投げかけたい」と語っています。いま、アーティストとして作品を通してもっとも問いかけたいことはなんでしょうか。そして前橋で作品を見る観客には、どのような問いを持ち帰ってほしいですか。
マルジェラ 私は、人から「なぜ?」と尋ねられることが好きです。その問いから、その人が作品を前にして何を感じ、何に驚き、何に疑問を抱いたのかを知ることができるからです。自分の作品が観客を引き込み、そうした反応を引き出すことができたとき、ひとつの達成感を覚えます。
来場者には、作品を前にしたときの感情を鮮明に覚えていてほしい。そして、その記憶を大切に持ち帰ってもらえたらと思っています。




















