瀬戸内国際芸術祭とあわせて行くべき8つの美術館【4/4ページ】

兵庫県立美術館:特別展「藤田嗣治×国吉康雄展」(6月14日~8月17日)、コレクション展 ベスト・オブ・ベスト2025(4月24日〜12月14日)、美術の中のかたち 中谷ミチコ展(9月5日~12月14日)、Ando Gallery(通年開館)

 兵庫県立美術館は阪神・淡路大震災からの「文化の復興」のシンボルとして、2002年、神戸東部新都心(HAT神戸)に開館。世界的建築家・安藤忠雄が設計を手がけ、延床面積約2万7500平方メートルという西日本最大級の規模を誇る。美術作品の展示だけでなく、様々な芸術の融合の場として設計された建物は、単純明快な構成の中での複雑多様な空間体験を実現している。

 同館では8月17日まで、特別展として藤田嗣治×国吉康雄の二人展が開催中。同時代におけるそれぞれのパリとニューヨークでの活動、その後の戦前、戦後の活動を対比させることにより、20世紀日本が送り出したふたりの「日系画家」の近似性と距離感を示すものとなっている。

中谷ミチコ デコボコの舟(部分) 2022 撮影=若林勇人

 また若手作家を紹介するアニュアル企画「Channel 16」では、身近な時事ニュースを取り上げた版画作品で知られる松元悠(1993年生まれ)、秋には当館が30年以上継続している「手でふれて鑑賞する」企画枠で、彫刻家・中谷ミチコ(1981年生まれ)を取り上げる。コレクション展示室では当館の半世紀を超える収集歴を生かした「ベスト・オブ・ベスト2025」を開催。2019年に増設された安藤設計によるAndo Galleryでは、安藤の模型や図面などの展示をアップデートする。

住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 [HAT神戸内]
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生以下 無料

横尾忠則現代美術館横尾忠則の肉体派宣言展(5月24日~8月24日)、復活!横尾忠則の髑髏まつり(9月13日~12月28日)

横尾忠則現代美術館

 兵庫県西脇市出身で国際的にも評価される美術家・横尾忠則の作品に特化した横尾忠則現代美術館。同館では横尾に関する多彩なテーマの企画展示を数多く開催してきた。また、膨大に有する横尾の関連資料を保管するアーカイブルームも備えている。

 肉体派宣言展は「身体性」について再考し、横尾の多彩な人体表現に光を当てる試み。身体の赴くままに描くことを是とする横尾が、人体に向けた意識を、人体を描いた作品を通して探る。いっぽう「髑髏まつり」は、2020年にコロナ禍で開催直前に中止となった「横尾忠則の髑髏まつり」を再構成するもの。骸骨や首吊りのロープのような暗示的な記号から、空襲で赤く染まった空や亡くなった友人の写真などの自身の記憶に由来するモチーフまで、様々な「死」の形が鮮やかに力強く示される。

住所:神戸市灘区原田通3-8-30
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 800円 / 大学生 600円 / 70歳以上 400円 / 高校生以下は無料 / 障がい

美術手帖プレミアム会員限定で、「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトの参加美術館(香川・岡山・兵庫計8館)で使える共通チケットのプレゼントを実施。詳細はこちらから。