ギャラリー
セントラル
メアリー・ウェザーフォード「Persephone」(ガゴシアン香港)

ガゴシアン香港では、アメリカ人アーティスト、メアリー・ウェザーフォードによるアジア初の個展「Persephone」が3月24日に開幕する。本展では、ヴィニールエマルジョンを用いた絵画にネオン管や貝殻、サンゴなどを組み合わせた新作が発表され、光や色彩、素材の関係性を探究する作家の近年の実践が紹介される。
展覧会タイトルはギリシャ神話のペルセポネに由来する。冥界へと連れ去られた彼女が地上へ戻ることで春が訪れるという神話は、季節の循環や再生の象徴として知られる。ウェザーフォードはこの物語を手がかりに、消失や変容、再生といったテーマを絵画空間のなかに展開する。
展示は建築事務所ジョンストン・マークリーによって設計された3つの空間に分かれ、連続する視線のなかで作品が展開する構成となる。ネオン管の光が絵画に差し込まれる独特の手法は、香港という「光の都市」の記憶とも呼応しながら、都市文化と絵画表現の関係を浮かび上がらせる試みでもある。
ニコール・アイゼンマン(ハウザー&ワース香港)

ハウザー&ワース香港では、アメリカのアーティスト、ニコール・アイゼンマンによる個展が3月24日から開催される。本展では近年の絵画作品を中心に、人物像や風景を題材とした新作が紹介される。
アイゼンマンは、絵画史への参照と現代社会への批評を重ね合わせた作品で知られる。コミカルで誇張された人物像や、親密さと孤独が交錯する場面などを通して、人間関係や社会の構造、ジェンダーや身体性といったテーマを探究してきた。
本展では、厚く塗り重ねられた絵具や大胆な筆致によって構成された画面が、ユーモアと不安、親密さと疎外といった複雑な感情を浮かび上がらせる。日常の光景や集団の場面を描きながら、そこに潜む社会的緊張や心理的距離を提示する作品群は、現代の人間像を多面的に映し出すものとなっている。
ウォルター・プライス「Pearl Lines」(デイヴィッド・ツヴィルナー香港)

デイヴィッド・ツヴィルナー香港では、ニューヨークを拠点とするアーティスト、ウォルター・プライスによる個展「Pearl Lines」が3月24日に始まる。アジアでは初の個展となる本展では、新作の絵画および紙作品が発表される。
プライスは、具象と抽象の境界を行き来する自由な絵画表現で知られる作家。強い色彩と線によって構成された画面には、頭部の断片や傘、ソファなどのモチーフが浮かび上がり、夢や記憶、個人的経験と集合的歴史が交差するイメージの場が形成される。
作品タイトルには「Hallucinatory Behavior」や「Day Jah Voo」など、記憶の断片や感覚の揺らぎを示唆する言葉が用いられ、鑑賞者の解釈を開く余白が残されている。また本展では、作家の特徴的な青色のパレットが多くの作品に用いられており、西洋美術史における青の象徴性や感情表現への連想を呼び起こすとともに、香港の都市や自然環境を想起させる緑の色彩も取り入れられている。
エル・アナツイ(ホワイト・キューブ香港)

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ホワイト・キューブ香港では、ガーナ出身の世界的彫刻家エル・アナツイによる新作展が3月25日に開幕する。本展はソウルのホワイト・キューブとの同時開催であり、アーティストが同ギャラリーで発表する初の展示となる。
アナツイは、廃棄されたボトルキャップを素材に用いた大規模な彫刻作品で国際的に知られる作家。アクラのスタジオで制作される作品は、数千個におよぶ金属片を縫い合わせることで形成され、布のように柔軟な構造を持つ独自の表現を生み出してきた。
本展で発表される新シリーズでは、作品の表面と裏面の双方に同等の意味を持たせる構成が採用されている。壁に掛けるだけでなく空間に浮かせて展示することも可能となり、彫刻を両面から鑑賞できる点が特徴だ。抑制された色彩の構成と「固定されない形態(non-fixed form)」という作家の理念が、素材の循環や文化の移動といったテーマをあらためて浮かび上がらせている。
「Remembrance: A Tribute to the Work of Dinh Q. Lê」(10 Chancery Lane Gallery)

10 Chancery Lane Galleryでは、2024年に急逝したベトナム系アメリカ人アーティスト、ディン・Q・レ(1968〜2024)の功績を讃える展覧会「Remembrance」が3月19日から開催されている。キュレーションはデヴィッド・エリオットが手がけ、東南アジアを代表する現代アーティストのひとりとして国際的に評価されてきたレの活動を振り返る内容となる。
レはベトナム戦争の記憶やディアスポラの経験を背景に、歴史や記憶、イメージの政治性をテーマとした作品を制作してきた。とりわけ、写真を細く切り裂き織り合わせる「フォト・ウィービング」と呼ばれる手法は、異なる時間や物語を視覚的に交差させる独自の表現として知られている。
本展では、代表的シリーズ「Hill of Poisonous Tree」を含む作品を通して、戦争や植民地主義、メディアによって構築される歴史のイメージを再考する。個人の記憶と集団的歴史が複雑に交錯するレの作品は、現代社会におけるイメージの力とその可能性をあらためて問いかけるものとなる。



















