1位:「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」(東京国立近代美術館)
2025年のアンケート結果は昨年同様、比較的僅差となったが、そのなかでも、ウェブ版「美術手帖」読者の心をもっとも掴んだのは、東京国立近代美術館の「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」(7月15日~10月26日)だった。

撮影=木奥惠三
「昭和100年」かつ「戦後80年」という節目の年に、先の戦前・戦中・戦後の記憶を、美術作品から読み解こうという試みとなったこの展覧会。通常の企画展とは異なり、メディア向けの内覧会やプレスリリースがないことで一部の集めたが、結果的にはその内容の重要性が話題を集めた。椹木野衣、能勢陽子による本展レビューもチェックしてほしい。
戦後80年と現在の世界からして見に行かざるを得ないと感じた。
告知をほぼ行わなかったことも、意図しない広まり方を防いだという点で結果的には良かったのではないかと思う。
戦後80年の今年、所蔵作品で何をどのように見せるべきか、美術館の使命というものがしっかり伝わった。このような展覧会が企画され享受できること、当たり前のようで、そうではない時代にあって何か力をもらえた。
2025年も素晴らしい展覧会がたくさんありましたが、1つしか選べないとしたら、東京国立近代美術館さんの「記録をひらく 記憶をつむぐ」にならざるを得ないのではないでしょうか。
戦争に対しアート・芸術がどう関わったかという観点から戦争を浮き彫りにしていくところがよかった。また、戦争=狂気という一元的な見方を否定していることも戦争そのものに真摯に向き合うという点で重要だと思った
日本の美術史にとって絶対に無視することができないにも関わらず、今まで無視されているに等しかった「戦争画」をまとめて見られる展覧会が開催されたことは、これ以上ないほど高く評価されるべきだと思います。いっぽうで、タイトルに「戦争」の語が入れられなかったこと、ほとんど宣伝ができなかったこと、図録が作れなかったことを私たちは重く受け止めるべきだと思います。残念ながら開催中に日本社会は怒涛のごとく、この展覧会で描かれた社会へと近づきましたが、そういう状況を相対化することができました。開催できなくなる前に、つまりは一刻も早く、戦争画をまとまって見られる次の機会を、日本美術界全体で作り出すべきではないでしょうか。
ひっそりと始まった展覧会だったが、snsで話題になったのもあって見に行ってきた。戦後80年にふさわしい展示内容だったと思うし、アートがプロパガンダに利用されたという点も忘れてはいけないことだと感じたため。
























