NFTフィーバーから堅調なオークション、拡張するギャラリーまで。2021年のアートマーケットを振り返る
NFTブームから堅調な実績を上げたオークションハウス、拡張し続けるアートフェアやギャラリーまで、美術手帖で取り上げたニュースのなかから2021年のアートマーケットを振り返る。
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急速に高まった「NFT」熱
2021年のアートマーケットを語るうえでもっとも避けられないトピックが、アート界で熱狂を引き起こすNFTだろう。
今年3月、デジタルアーティスト・Beeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)のNFT作品《Everydays - The First 5000 Days》がクリスティーズのオンラインセールにおいて約6935万ドル(約75億円)で落札。これにより、Beepleは一躍して現存アーティストのオークション記録第3位となり、NFTアートも業界内で大きなブームを巻き起こした。
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その後、サザビーズやフィリップスもNFTに参入し、デジタルアーティスト・Pakやカナダ人アーティストのMAD DOG JONESのNFT作品を初めて競売した。オークションハウスだけでなく、アクティヴィスト集団プッシー・ライオット、AIロボット・ソフィア、ファッションブランド・グッチ、ラッパーのジェイ・Zなど様々なアーティストや組織がNFTアートを発表し、大きな活況を見せた。
そんななか、美術館やギャラリーもNFTプロジェクトに取り組みだした。ロシア・エルミタージュ美術館のNFTプロジェクト「Your token is kept in the Hermitage」では、同館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチやフィンセント・ファン・ゴッホなどの名画のデジタルコピーをNFT化し、オークションに出品。大英博物館がブロックチェーンプラットフォーム「LaCollection」と提携し、葛飾北斎「神奈川沖波裏」「凱風快晴」などのデジタル画像を含む200点以上のNFTをオンラインで販売した。メガギャラリーのペースも、NFTを鋳造、展示、収集するためのプラットフォーム「Pace Verso」を立ち上げた。