2021.4.13

フィリップスがNFTに参戦。MAD DOG JONESの自動生成型作品を100ドルから販売

世界三大オークションハウスのひとつである「フィリップス」が、その歴史上初となるNFTアート作品の販売をスタートさせた。カナダ人アーティストのMAD DOG JONESによる《レプリケーター》と題された同作は、7つのユニークな世代の作品で構成され、28日ごとに新しい作品が自動的に生成されるというもの。入札は100ドル(約1万1000円)から。

《レプリケーター》のジェネレーション1(第1世代)からのスチールイメージ Courtesy of Phillps
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 オークションハウス「フィリップス」が、その歴史上初となるNFT作品として、カナダ人アーティストのMAD DOG JONES(本名マイカ・ドウバク)による《レプリケーター》の販売をスタートさせた。入札は100ドル(約1万1000円)から。

 同作は、7つのユニークな世代の作品で構成され、28日ごとに新しい作品が自動的に生成されるというもの。今回オークションに出品される第1世代は、オフィススペースに置かれた1台のコピー機を描いた、同作の起源となるイラスト。この第1世代NFTから、月に1回の割合で合計6つのNFTが生成され、各世代はその前後の世代とは違ったものとなる。

 以降に続く各世代がその存続期間中に生みだす作品は1つずつ少なくなり、最終的には新たなNFTを生成しない第7世代に到達する。また、今回の第1世代の作品は販売後、それ以降に同作から生まれる自己複製品やジャム作品を含め、すべて新たなオーナーの所有物となる。

 コピー機と同じように、同作も紙詰まり、つまりジャムを起こす可能性がある。「ジャムアート作品」が生成された場合、この作品はその世代に固有のものとなり、自己複製は終了。ジャム率は第2世代から第6世代で50〜80パーセントとなる。

MAD DOG JONES

 同作について、MAD DOG JONESは次のように語っている。「《レプリケーター》は、時間の経過に伴うマシンの物語です。これは、過去の画期的なイノベーションの形態の反映であり、現代のテクノロジーの連続体のメタファーとして機能します。作品が進化し、所有している NFTが新しい世代を生みだし続けるなかで、コレクターの皆さんがどのように反応するか、大変興味があります」。

 また、フィリップスの最高経営責任者を務めるエドワード・ドルマンは、「MAD DOG JONESは、クリプトコミュニティの形成、そしてその超越に大いに貢献している立役者です。《レプリケーター》は、媒体と形式のあいだに説得力のある関係を描くことで、芸術作品に対する人々の期待を再定義します」とのコメントを出している。

 なお、サザビーズは匿名のデジタルアーティスト・Pakとコラボレーションし、「The Fungible Collection」と題したセールを4月12日〜14日の期間で開催。クリスティーズは約75億円で落札されたBeepleのNFT作品に次ぎ、今日のNFTムーブメントの始まりと評価される「CryptoPunks」を5月13日に競売にかける。MAD DOG JONESによるNFT作品のオークション出品により、世界三大オークションハウスがすべてNFTに参入したこととなる。