イサム・ノグチ(1904〜88)は、世界文化を横断しながら歩き、彫刻をはじめ舞台美術や家具、照明器具「あかり」のデザイン、陶芸、庭、ランドスケープ・デザインまで、幅広く制作を行ってきた。
今年、ノグチの没後30年を迎えるにあたって開催される「イサム・ノグチ —彫刻から身体・庭へ—」展は、「身体との対話」「日本との再会」「空間の彫刻—庭へ」「自然との交感—石の彫刻」の4章構成。ノグチが抽象彫刻の分野にあってもつねに「身体」を意識し続けたことや、そうした意識が、子供のための遊具やランドスケープといった人々を取り巻く環境デザインに向かい、ノグチ自身が提唱した「空間の彫刻」が庭園への情熱として拡張されていったことに着目して展示が展開されていく。
本展は、ノグチの芸術の出発点となる「北京ドローイング」から、モダンダンスの開拓者であるマーサ・グラハムのための舞台装置、日本で制作された陶作品、光の彫刻「あかり」のデザイン、「チェイス・マンハッタン銀行プラザのための沈床園」(1961〜64)、ランドスケープの模型・資料・記録映像、晩年の石彫までを展示。
多種多様な作品を通じて「異文化の融合」や「生活と環境の一体化」を目指したノグチの領域横断的な活動の全容が明らかになるだろう。