2018.1.16

「ファインアート・ユニバーシアード U-35展」の受賞者が決定。3331での選抜展へ巡回

絵画、版画、彫塑、書の美術分野で活躍する国内外の若手作家117名の作品展「ファインアート・ユニバーシアード U-35展」の受賞作品が決定、1月13日からアーツ千代田3331で開催される「新進芸術家選抜展 FAUSS」にて展示が行われる。

「ファインアート・ユニーバシアード U-35展」の会場風景
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 日本と世界の芸術系大学が垣根を越えて一堂に会する。そんなこれまでにない試みをご存知だろうか? 

 それが今回で5年目を迎える「ファインアート・ユニバーシアード U-35展」だ。これは、絵画、版画、彫塑、書の美術分野で活躍する国内外の若手作家の作品展。2013年度から4回にわたり開催された新進芸術家育成交流作品展「FINE ART / UNIVERSITY SELECTION」を前身に、今年度から新たな名称で再スタートを切った。

 本展は、国内外の大学ネットワークによって、国や大学といった既存の枠組みを超えた作品交流を実践する取り組み。国内の大学76校と、国外の大学18校にそれぞれ出品作家の選考を委託し、各大学の卒業生・修了生の中から選ばれた概ね35歳未満の作家の作品が会場の茨城県つくば美術館に一堂に会した。

「ファインアート・ユニーバシアード U-35展」の会場風景

 117名が参加した本展では、とくに優秀な出品作品に賞を授与。その受賞作が1月13日より東京のアーツ千代田3331で開催の関連展覧会「新進芸術家選抜展FAUSS」(16年度「FINE ART / UNIVERSITY SELECTION」の受賞者作品展)の会場内にて巡回展示される。

 今回、優秀作品賞となったのは財田翔悟(絵画)、山本雄教(絵画)、野村真弘(絵画)、佐藤麻依子(版画)、市川絢菜(版画)、設樂陽香(彫塑)、廣木知佳(書)の計7名。

 また、国際特別賞としてオリビア・ペッタション・フレールが、オーディエンス賞としてアレクセイ・ペレペルキンが選出されている。

 審査員を務めたのは、玉川信一(画家、筑波大学副学長・芸術系教授)、北澤憲昭(美術評論家、美術史家)、富田淳(東京国立博物館学芸企画部長)、野口玲一(美術評論家)、ダリウシュ・ヴァスィーナ(イラストレーター、画家、グラフィックアーティスト、クラクフ美術アカデミー准教授)の5名。

 

 審査委員長の玉川信一は、今回の選考について「展示作品全体を俯瞰してみると、前回に比してそれぞれの地域性や時代性がより反映され、多様性が増してきたように思います」とコメント。「各大学を卒業し活躍する若手の表現者を各大学自身が推薦する形式の本展覧会において、その多様性そのものが価値を持っているにもかかわらず、この一堂に会する場で優劣がごとき賞を選考することは正鵠を射ているとは言い難いのではと感じています」としながらも、「芸術表現を一様のスケールで解釈することはできませんが、回数を重ねることによって、この事業が若い表現者の目指す指標の一つになってほしい」と今後への期待を語っている。

 芸術系大学の連携のひとつの成果である「ファインアート・ユニバーシアード U-35展」と「新進芸術家選抜展 FAUSS」。本展は、その現在形を東京の中心地で確かめる良い機会となりそうだ。