「なんとか」の集合を、「なんとか」見ることの尊さ。小金沢智 評「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」
太田市美術館・図書館で開催中の「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」。作家・演出家・俳優の岩井秀人、俳優・ダンサーの森山未來、シンガーソングライターの前野健太の3名によって2017年から始動したプロジェクト「なむはむだはむ」に、美術家・彫刻家の金氏徹平も加わり、初めて展覧会としてクリエーションを展開させた展示を、キュレーターの小金沢智がレビューする。
太田市美術館・図書館で開催中の「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」。作家・演出家・俳優の岩井秀人、俳優・ダンサーの森山未來、シンガーソングライターの前野健太の3名によって2017年から始動したプロジェクト「なむはむだはむ」に、美術家・彫刻家の金氏徹平も加わり、初めて展覧会としてクリエーションを展開させた展示を、キュレーターの小金沢智がレビューする。
京都のHAPSが「公立美術館における障害者等による文化芸術活動を促進させるためのコア人材のコミュニティ形成を軸とした基盤づくり事業」の一環として行った、古谷渉の個展「私はなぜ古谷渉を選んだのか」。滋賀県立美術館館長(ディレクター)の保坂健二朗をゲストキュレーターに、「障害のある人が関わる文化芸術活動を拡張する基盤をつくる本事業の先駆的な取り組み」として開催された本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新が振り返る。
十和田市街の一軒家を会場に、十和田市現代美術館が若手アーティストを紹介する場として運用している「space」。ここで初回の展示として開催された大岩雄典個展「渦中のP」を、きりとりめでるが振り返る。
「二本画」という独自のスタイルで絵画の地とスケールの関係性を追求する画家・法貴信也。その3年ぶりに開催された2つの個展から、それぞれ西洋美術史と東洋美術史への応答を読み取る、美術評論家・清水穣のレビューをお届け。
書家・比田井南谷の生誕110年を記念して愛知県春日井市道風記念館で開催された、生誕110年記念「比田井南谷〜線の芸術〜」。終戦直後に比田井が書いた作品《電のヴァリエーション》をきっかけに、「文字を書かない書」の誕生について美術批評家・椹木野衣が考察する。
写真・映像作品を国内外の展覧会で発表し、国際的にも高い評価を受けている写真家・野口里佳。東京都写真美術館で開催されている「野口里佳 不思議な力」展は、時間や場所も超えていく写真の「不思議な力」が導く展覧会だ。詩人で情報科学芸術大学院大学(IAMAS)准教授の松井茂がレビューする。
東京・新宿の歌舞伎町にある「新宿歌舞伎町能舞台」で開催された展覧会「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」。アーティストの渡辺志桜里が企画とキュレーションを務めた本展では、最古の能の演目『翁』をベースに、飴屋法水や石牟礼道子、ピエール・ユイグなど多彩な作家が集結した。四方幸子がレビューで振り返る。
今年夏、広島のアートスペース「THE POOL」で開催された原田裕規の個展「Shadowing」。原田がハワイで知り合った日系アメリカ人たちをモデルに制作したデジタルヒューマン/映像作品《Shadowing》を中心とした本展を、高知県立美術館学芸員の塚本麻莉がレビューで振り返る。
ドイツの現代アーティスト、ゲルハルト・リヒター。その生誕90年、画業60年を記念した東京初の美術館個展「ゲルハルト・リヒター展」が東京国立近代美術館で開催された。リヒターが長年取り組んできたアウシュヴィッツを描いた大作《ビルケナウ》シリーズを中心に構成された本展を、清水穣がレビューする。
長野県の諏訪で6年に一度行われる御柱祭。その式年祭の実施にあわせ、「中村恭子日本画作品展 脱創造する御柱」展が諏訪市美術館で開催された。御柱の脱創造性に焦点を当てた本展を「書き割り」の形式から椹木野衣が読み解いた。
「造船のまち」として栄えた北加賀屋を象徴する旧名村造船所大阪工場跡地にある、クリエイティブセンター大阪。この3フロアすべてを使って大規模なインスタレーションを展開する林勇気個展「君はいつだって世界の入り口を探していた」が行われた。北加賀屋での経験を題材とする映像を中心に、本展をキュレーターの小金沢智がレビューする。
アート・ユーザー・カンファレンスが立ち上げた「あらたな公共圏=ミュージアムを構想・実践するプロジェクト」である「ジェネラル・ミュージアム」。その東京での初めての展覧会が、この夏、「住宅街に面した森」で開催された。青森県立美術館でアート・ユーザー・カンファレンスも参加中の「美術館堆肥化計画」を企画する学芸員の奥脇嵩大がレビューする。
毎年、そのテーマ性とキュレーションで注目を集める「MOTアニュアル」。18回目のタイトルは、「 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」。大久保あり、工藤春香、高川和也、良知暁、4人のアーティストによる4つの物語は、鑑賞者に何を手渡し、語り継ごうとするのだろうか。高橋ひかりがレビューする。
戦後の日本で展開した2つの民衆版画運動、「戦後版画運動」と「教育版画運動」を約400点の豊富な作品と資料を通して紹介する「彫刻刀が刻む戦後日本」展。そこからは、戦後、民衆に働きかけるメディアとして版画が果たしてきた役割の大きさが見えてくる。また、戦前の版画運動・自由画運動を主導した山本鼎からの影響もうかがえる。本展を、山本鼎の研究者でもある上田市立美術館学芸員の小笠原正がレビューする。
島根県浜田市出身の平川紀道と、同益田市出身の野村康生が、生まれ育った島根県西部・石見地域で新作を披露する島根県立石見美術館の2人展「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」。アートとサイエンスの領域をまたぐ活動を行うこのふたりの共演を、美術評論家の中尾拓哉がレビューする。
書家の山本尚志を中心とする新しい書の運動「ART SHODO」。国際的に認知され進化する現代美術としての書を、清水穣がレビューする。
長野県諏訪郡下諏訪町に生まれ、同地を拠点に制作を続け、日本概念派の旗手となった松澤宥。生誕100年となる2022年2月2日に彼の生涯をたどる回顧展が長野県立美術館で開幕した。初期から晩年にかけての詩作から絵画や立体作品も含めたその全貌を、椹木野衣がレビューする。
自身が設けたルールに沿って、世界各地の地表を捉える写真作品を手がけてきた松江泰治。東京の都市模型を被写体とした新作展「makietaTYO」がTARO NASUで、「CC」「makieta」の2シリーズを紹介する個展「松江泰治 マキエタCC」が東京都写真美術館にてそれぞれ開催された。地上から撮影した「CC」、空から撮影した「JP-」、そして模型を撮影する「makieta」の手法が露出させる政治的な意味や、眺める主体について清水穣が論じる。
中ザワヒデキや草刈ミカらが中心となり、人工知能(AI)の持つ美意識や創作の可能性を探究している「人工知能美学芸術研究会」(AI美芸研)が、長野・上伊那郡の中川村で「人工知能美学芸術展:美意識のハードプロブレム」を開催した。「アンフォルメル中川美術館」「ハチ博物館」など多様な文脈を持つ会場では、40名弱の作家が展示。本展においてAIの美芸に隠された無意識、つまり他者性はどのように表れていたのか? 椹木野衣がレビューする。
5月28日、29日の2日間にかけて、アーティスト藤倉麻子が主催する展覧会「手前の崖のバンプール」が東京湾にて開催された。初の物流型展覧会として、参加者に伝えられた指示は事前に送付された材木を所定の目的地まで運輸すること。テーマを「物流・労働・対岸」と掲げ、展覧会の枠組みを大きく超えた本展はいったいどのようなものだったのか? 展覧会での体験を詳細に記述するとともに、本展の可能性について、中島水緒がレビューする