東京・麻布台ヒルズの「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」で、特別展「宇宙の非対称性について」が開幕した。会期は10月8日まで。
チームラボボーダレスは、「境界のないひとつの世界」をコンセプトに掲げるデジタルアートミュージアム。作品同士が互いに影響しながら空間を越えて移動し、来場者は決められた順路ではなく、自らの身体で空間を回遊しながら作品を体験する。2024年2月に麻布台ヒルズへ移転・拡張オープンして以降も、新たな作品や展示空間のアップデートを重ねてきた。
「光の彫刻」新作8作品を公開
今回の特別展では、「Light Sculpture」シリーズから新作8作品を公開。「宇宙の非対称性」をテーマに、光そのものを「彫刻」のように知覚させる体験を提示する。

チームラボ代表・猪子寿之は光の知覚にアプローチした本作品群の魅力を解説。これまでのように映像をスクリーンへ投影するのではなく、「光の彫刻」によって人間の知覚そのものに働きかけることで、実体のない光が立体として立ち現れる現象を作品化したという。また、作品奥にある鏡に鑑賞者が映らない仕掛けによって独自の空間認識へと導くという点についても述べた。

新たに公開されたのは、《Chromatic Existence》《Crystal of the Sky》《Dark Existence within Chromatic Order》《Tunnel into the Mirror Universe》《Asymmetric Cosmos》《Observer-Dependent Dark Existence》《Fixed Star》《Flower in the In-Between》の全8作品。会場ではこれらが一定時間ごとに切り替わり、色彩や形態、空間全体の印象を絶えず変化させていく。
作品空間へ足を踏み入れると、壁面や天井一面に配置された無数の可動式ライトが複雑な軌跡を描き始める。光源は視認できるにもかかわらず、その手前には巨大な立体が浮かび上がり、光が物質として存在しているかのような錯覚を生み出す。


《Chromatic Existence》では赤・緑・青の光が重なり合いながら脈動する球体が空間に浮かび、《Dark Existence within Chromatic Order》では鮮烈な色彩の中心に暗い存在が現れる。《Observer-Dependent Dark Existence》では鑑賞者が空間内を動きながら観察する場所を変えると、深い青の光の奥に黒い穴の位置が変化。《Asymmetric Cosmos》では赤い光が複雑な螺旋を描きながら空間全体へ広がることで宇宙的なスケールを想起させ、《Flower in the In-Between》では花弁を思わせる広がりのある光が中心に向かい、大きな一輪の花が形成される。

光が立体として現れる体験
作品はいずれも、色彩が変わるだけではなく、光そのものの質量や奥行きを感じさせる構造。光の彫刻は球体や穴、花弁、あるいは結晶の姿に見えるよう、光の強さや色、角度が計算され形作られている。精巧につくられた仕掛けによって、目の前にあるのは照明装置と鏡のみであるにもかかわらず、「そこに何かが存在している」と脳が認識する体験が創出される。
チームラボはこれまでも、身体と空間、そして認識の関係をテーマにした作品を発表してきた。本展はその探究を「光そのもの」の知覚へと展開する試みだ。私たちが世界を目でどのように見ているのかという知覚の仕組みそのものへ、鑑賞者の意識を向ける展示となっている。


























