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「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」(横浜美術館)開幕レポート。日韓のアートを通して問い直す、共生のかたち【2/4ページ】

 まず、「1章 はざまに──在日コリアンの視点」では、日韓国交正常化以前の1945〜60年代前半の約20年間に焦点を当て、日本と朝鮮半島の“はざま”に位置した在日コリアン作家の活動を取り上げる。

 例えば、当時日雇い労働者として日本で働いていたチョ・ヤンギュ(曺良奎)の作品からは、在日コリアンとしての生活の実感を描いた代表作が展示されている。また、日本の美術批評家・織田達朗との書簡も紹介されており、日本の美術界とも密接につながっていたことがうかがえる。在日1世としてのアイデンティティの所在を探る表現や、当時の生活を反映した具象絵画が中心となる展示空間だ。

展示風景より、曺良奎《密閉せる倉庫》(1957)
展示風景より、「曺良奎から織田達朗宛書簡」(1958-60)

 そのほか、この時代を主題に制作する林典子やナム・ファヨンなど現代作家の作品も取り上げ、国交のなかった20年間に“はざま”を生きた人々の人生にも光を当てている。

展示風景より、林典子《sawasawato》(2013-)

 ホワイエで展開される「2章 ナムジュン・パイクと日本のアーティスト」では、ヴィデオ・アーティストの先駆者ナムジュン・パイクと日本の美術界との交流が、作品と資料によって紹介されている。日韓国交正常化以前に日本を訪れ、公私のパートナーであった久保田成子や、技術者として長くパイクを支えた阿部修也との出会い、さらにはハイレッド・センターとの交流など、その特異な関係性の軌跡が読み取れる。

展示風景より、久保田成子による作品群

編集部

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