国際的な注目の先にある、そのリアルとは? 『美術手帖』2026年1月号は、「韓国の現代アート最前線」特集

『美術手帖』2026年1月号「韓国の現代アート最前線」特集が12月5日に発売される。本特集では、近年急速に発展している韓国の現代アートシーンに注目し、最前線の現場で活動を行うアーティストやキープレイヤーの実践に耳を傾けることで、シーンの実態に迫る。またアーティスト・インタビューでは、国際芸術祭「あいち2025」にも参加したワンゲシ・ムトゥを取り上げる。

国際的な注目の先にある、そのリアルとは?

 近年、韓国の現代アートシーンは急速に発展し、国際的な舞台での存在感を高めている。その背景には、1980年代から90年代にかけての民主化の進展と国際社会への進出にともなう、文化政策の整備や新世代による新たな表現とオルタナティブ・スペースの広がりがある。その後、文化インフラの構築や、韓国カルチャーの海外進出の成功、活況を呈するアートマーケットなどが重なり、韓国はアジア地域において文化的な結節点とされるまでの発展を遂げてきた。

 こうした流れは、 アーティストやアートをめぐるプレイヤーの環境にも新たな視野をもたらしている。本特集では、最前線の現場で活動を行うアーティストやキープレイヤーの実践に耳を傾けることで、シーンの実態に丁寧に迫り、その豊かな展開を照らし出すことを目指している。

 さらに、テクノロジー、ジェンダーと身体性、社会批評といったアーティストたちの表現に見られる要素をひも解きながら、現在の韓国社会における政治的・文化的背景がアートに与える影響を考察する。日韓国交正常化60周年を迎える2025年、韓国の現代アートから日本を含む地域的・国際的な展望に迫る。

 アーティスト・インタビューでは、女性性、自然環境、神話、植民地主義など、過去と未来、そして生物と人間の表象をテーマに、多様な技法と媒体で作品を発表し、国際的な評価を受けるワンゲシ・ムトゥを取り上げる。国際芸術祭「あいち2025」の参加に際して、彼女の考える移動と故郷、自然と人間の関係、アートの役割について、山本浩貴が話を聞いた。

編集部