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「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」(横浜美術館)開幕レポート。日韓のアートを通して問い直す、共生のかたち【3/4ページ】

 3章以降では、1965年以降、つまり国交正常化後の日韓の動きに目を向ける。国交が正式に結ばれると、人や作品の往来が活発になり、両国で現代美術を紹介する展覧会も増えていった。「3章 ひろがった道 日韓国交正常化以後」では、1960〜80年代に行われた5つの展覧会を紹介し、交流の様相や互いに与えた影響を俯瞰している。

 最初の展示室では、1968年に東京国立近代美術館で開催された「韓国現代絵画展」を取り上げ、当時の出展作と資料から、日韓の作家がどう影響しあったのかを読み解く。

展示風景より、「韓国現代絵画展」(1968、東京国立近代美術館)に関する資料
展示風景より、関根伸夫《位相 No.13》(1958)
展示風景より、手前は関根伸夫《位相-大地1》(1986)、奥は李禹煥《風景 (Ⅰ)(Ⅱ)》(1968 / 2015)

 続く展示室では、1975年に東京画廊と韓国の明東画廊が主導した「韓国・五人の作家 五つのヒンセク〈白〉」、77年の「韓国・現代美術の断面」、79年の「第5回大邱(テグ)現代美術祭」の作品や資料が並んでおり、当時の美術関係者が築いていった、アートを通した日韓交流の初期段階を示す展示となっている。

展示風景より、「韓国・五人の作家 五つのヒンセク〈白〉」(1975)に出展された作品群
展示風景より、「韓国・現代美術の断面」(1977)、「第5回大邱現代美術祭」(1979)に出展された作品群
展示風景より、『美術手帖』1977年10月号。「韓国・現代美術の断面」の開催にあわせて実施された座談会の様子が掲載されている

 なかでも、1981年にソウルで開催された「日本現代美術展─70年代日本美術の動向」は、両国の公的機関が初めて連携して実施したもので、韓国において日本の現代美術を大規模に紹介した初の事例となった。ここでは、斎藤義重や山口長男、高松次郎、辰野登恵子ら、幅広い世代46名の作家が名を連ねている。

展示風景より、「日本現代美術展─70年代日本美術の動向」(1981)に出展された作品群
展示風景より、「日本現代美術展─70年代日本美術の動向」(1981)に出展された作品群

 このほか、今年夏に逝去したクァク・ドッチュン(郭徳俊)の作品も展示されており、在日コリアン2世としてのアイデンティティや葛藤がその作品や制作活動から読み取れる。

展示風景より、郭徳俊によるドローイング。日韓国交正常化が実現した1965年前後に、ドローイングの傾向に大きな変化が見られる
展示風景より、郭徳俊「大統領と郭」シリーズ

編集部

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