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2025台北ビエンナーレ「地平線上の囁き」レポート。現世を変える「思慕」の力

第14回目の台北ビエンナーレが、11月1日、台北市立美術館で開幕した。「地平線上の囁き」(Whispers on the Horizon) というテーマのもと、全世界37都市からの72人のアーティストによる、34点の委嘱制作や現地制作を含む150点の作品が展示されている。現地から展覧会レポートをお届けする。

文=岩切澪

邱子晏 偽の飛行場 2025 Replica of a Zero fighter plane with screen, film, and bunker-shaped sound chairs, 15 min, 1200×900×300cm, 120×45×40cm, Courtesy of the artist, Commissioned by Taipei Biennial 2025 and National Culture and Arts Foundation.

 2025台北ビエンナーレのテーマは「地平線上の囁き」(Whispers on the Horizon)。探究されるのは、人々とつながり、想像や変革を引き出す、人類を前進させる力としての「思慕」(yearning)である。「地平線」とは、既知の物事と希望が出会う場所であるが、そこに向かって動き続ける「思慕」は「答えを出すわけではない」とステートメントは伝える。代わりにそれは、「か弱くとも粘り強く、不可視でありながらも痛切に」「囁き続ける」のだという。

 企画を手がけたのは、ベルリンのハンブルガー・バーンホフ国立現代美術館の館長を2022年より共同で務めるサム・バーダウィルとティル・フェルラス。ユニットを組んで17年という彼らは、2022年のリヨン・ビエンナーレ「脆弱のマニフェスト」展や、同年のヴェネツィア・ビエンナーレで特別表彰を受けたフランス館の企画などで知られる。現代アート作品を紹介し、美術館の可能性を追求するだけでなく、美術史の読み直しをキュレーションの中心に据える彼らがアジアで初めて手がけた当展は、台湾の複雑な歴史と社会、現状を、様々な意味で反映するものとなった。

編集部