「30周年記念展 ALL OF EVANGELION」(東京シティビュー)開幕レポート。『エヴァンゲリオン』シリーズの30年間の軌跡に迫る【3/3ページ】

 「躍動」と題された第3章は、膨大な量の手描きの原画やレイアウトが並ぶ会場構成だ。『エヴァンゲリオン』シリーズは、テレビシリーズから新劇場版シリーズへとメディアミックスで展開されたが、『新世紀エヴァンゲリオン』放送開始から12年後の、2007年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が公開(その後、『:破』『:Q』と公開)されるにつれ、物語は『新世紀エヴァンゲリオン』とはまったく異なる展開をむかえる。『:Q』では、3DCGを活用したビジュアル制作が行われ、より大胆な映像表現を実現した。会場では、実際に3DCDを用いてモデリングされた「戦艦AAAヴンダー」の特別ホログラムが展示されている。

第3章「躍動」の展示風景より
第3章「躍動」の展示風景より

 そして最後の第4章「結実、そして新たな鼓動」では、2021年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの完結編である『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にまつわる資料が展開される。庵野は、『:Q』の後に実写映画の制作に取り組んでいたため、その撮影方法を『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作に導入した。例えば、巨大なミニチュアセットをつくり疑似的なロケハンを行ったり、マーカーをつけた人間に実際に芝居をさせ、アングルとカット割りの可能性を探るというような方法である。本章では、そのような新しい技法を取り入れた制作に迫り、手描きのアニメーションからデジタル制作、そして実写の手法も取り入れて進化し続けた本シリーズが、どのように完結したのかを紐解く構成となっている。

第4章「結実、そして新たな鼓動」の展示風景より
第4章「結実、そして新たな鼓動」の展示風景より

 なお本展の会場である東京シティビューの隣にある「THE SUN & THE MOON(Cafe)」では、作中のキャラクターやシーンを再現したオリジナルコラボレーションメニューが登場する。味覚からも『エヴァンゲリオン』シリーズの世界観を楽しむことができそうだ。

「ALL OF EVANGELION」展のオリジナルコラボレーションメニュー

 『エヴァンゲリオン』シリーズの30年間の軌跡を貴重な資料とともに振り返りながら、改めて本シリーズの魅力を再発見できる機会となるだろう。