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「オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語」(国立西洋美術館)開幕レポート。印象派の画家たちはいかに室内を描いてきたのか【2/5ページ】

 第1章「室内の肖像」では、19世紀のサロンを舞台に展開した印象派のなかでも、とりわけ重要な表現手段であった「肖像画」に焦点を当てる。印象派の画家たちは、日常の室内空間における人物を描くことで、その人の性格や社会的背景までも巧みに表現した。画中に見られる衣服や家具、調度品などからは、人物の生活ぶりや社会的地位をうかがい知ることができるだろう。

展示風景より
展示風景より、フレデリック・バジール《バジールのアトリエ(ラ・コンダミンヌ通り)》(1870)

 また、本展では、若かりし頃のエドガー・ドガによる代表作《家族の肖像(ベレッリ家)》(1858〜69)が、修復を経て日本で初めて公開されている。亡命中のドガの叔母一家を描いた本作では、家族の姿を描きながらも、非日常的な暮らしを余儀なくされた彼女たちの表情には、どこか冷え込んだ空気が漂う。

展示風景より、エドガー・ドガ《家族の肖像(ベレッリ家)》(1858-69)

 いっぽう、その隣に展示されているアルベール・ベナールの《ある家族》(1890)は、穏やかな日常の一コマを切り取ったスナップショットのような作品だ。同様の主題を描きながらも、このふたつの作品はそれぞれ異なる情感を帯びている。

展示風景より、アルベール・べナール《ある家族》(1890)

 さらに、クロード・モネは、自身の家族の日常を描いた《アパルトマンの一隅》(1875)にも注目したい。手前には外光を受けた華やかなカーテンが描かれ、室内の青みを帯びた空間との対比によって奥行きが生み出されている。光に対するモネの繊細で豊かな感性がうかがえる一作だ。

展示風景より、クロード・モネ《アパルトマンの一隅》(1875)

編集部