最終章「印象派の装飾」では、室内に自然を取り込む壁面装飾としての絵画を紹介している。モネが大装飾画プロジェクトのために習作として描いた《睡蓮》をはじめ、印象派の画家たちがいかに室内空間に自然を融合させていったかという実践も見て取れる。こうした絵画が生活空間にあったら、と想像してみるのも楽しい。


また、19世紀末になると、印象派の画家たちがパトロンなどからの注文で室内装飾を手がけるケースも増えていった。この展示室では、ベルト・モリゾが自ら設計した応接間兼アトリエを再現した模型が展示されており、室内装飾としての絵画が空間のなかでどのように配置されていたかを理解できる。

ルーマニアの貴族ビベスコ公のために建築家のル・クールとルノワールが協業した邸宅の設計案も展示されており、依頼主の意向と印象派画家の作風が融合している点は、室内装飾としての絵画の興味深い特徴のひとつと言えるだろう。

なお、本展の音声ガイドはアンバサダーの上白石萌音が担当しており、非常に聞き取りやすく、展覧会の世界にゆったりと没入させてくれる。鑑賞の際は、ぜひ音声ガイドの利用もおすすめしたい。



















