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「アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に」(三菱一号館美術館)会場レポート。100年前のモードに見出す現代【4/5ページ】

第3章「オートクチュール全盛期の女性クチュリエたち」

 この時代に活躍したクチュリエには、まだまだ限られていたとはいえ、女性が多く存在した。本章では、男性服の要素を女性服に取り入れ、社会進出した女性のための衣装をはじめとした革新的なモードで、世界的に影響力を持ったガブリエル・シャネルを筆頭に紹介。さらにジャンヌ・ランバンとマドレーヌ・ヴィオネも紹介されている。

第3章「オートクチュール全盛期の女性クチュリエたち」展示風景より、シャネルの帽子(1915頃)京都服飾文化研究財団(KCI)所蔵
第3章「オートクチュール全盛期の女性クチュリエたち」展示風景より、シャネルのドレス、コート、アンサンブル

 ジャンヌ・ランバンは、娘のために制作した服が注目されたのを機に、子供服部門を立ち上げ、母子の揃い服で人気を博す。その後、スポーツ部門、毛皮部門、インテリア部門などを設立した敏腕経営者だ。

第3章「オートクチュール全盛期の女性クチュリエたち」展示風景より、ジャンヌ・ランバンのドレスはスケッチ画ととも

 ポワレと同様に早くからコルセットを排したドレスを制作していたとされるマドレーヌ・ヴィオネは、独立後は、型紙ではなく人体の1/2サイズの人形に布を当てて雛形を作ったり、バイアスカットを駆使するなど、布の特徴やそれらが生み出す造形の可能性に注目して革新的な製法を編み出した。

第3章「オートクチュール全盛期の女性クチュリエたち」展示風景より、マドレーヌ・ヴィオネのドレス

第4章「異国趣味とその素材」

 直線的、幾何学的な文様やヴィヴィッドな色彩対比が特徴とされるアール・デコ様式だが、そこには、キュビスムや未来派、バウハウスといったヨーロッパのさまざまな芸術動向に加えて、植民地主義と博覧会の隆盛を背景にもたらされたアジアやアフリカなど非ヨーロッパ圏の文物も影響しており、多様な様相が含まれている。

 19世紀のデザインにおいては、モチーフの引用にとどまることが多かった「異国趣味」だが、アール・デコ期にはこうしたモチーフを再解釈して新しい文様を創出するとともに、フォルムや色合わせも探求し、独特のデザインを結実させていく。とくに愛されたのが、日本の漆技法のひとつである蒔絵(まきえ)だった。本章ではパリで日本の漆芸を学び、金属に漆を塗るなど、斬新なアイデアの服飾小物で一世を風靡した工芸家ジャン・デュナンの作品や、異国要素を昇華したドレスなどを、そのフォルムや素材とともに楽しめる。

第4章「異国趣味とその素材」展示風景より
第4章「異国趣味とその素材」展示風景より
第4章「異国趣味とその素材」展示風景より

編集部