そして、新作となる《Walking With》(2025)は、自身の身体との不和を感じ続けてきた津野が、自分のための服づくりに挑戦した作品だ。今回は津野が自身の分身としてイメージした服を制作し、それを背負って歩くパフォーマンスを実施。会場ではその記録映像と実作を見ることができる。津野いわく「重く、動きづらく、ひとりでは少しの距離を歩くのもつらい」というこの服は、身体との関係を悩みながら模索し続けてきた津野の思考の足跡でもある。

本展では津野が感じる自身の身体との違和と向き合った過程を感じることができる。同時に、いまは健康な身体を無意識に制御できていたとしても、病や加齢によってその関係性が変化していく可能性を誰もが持っていることにも気づかされる。「変化し続ける身体とどのように付き合うのか」という問いを、衣服という社会生活に不可欠な存在を通して鑑賞者の思考を喚起する展覧会だ。



















