津野は自身の祖母との関係も作品に取り入れてきた作家だ。祖母を積極的に自身の作品のモデルとして起用してきた津野だが、近年はその祖母が寝たきりの生活になった。介護者のひとりとして、着飾ることが好きな祖母に向き合ってきた津野は、ベッドでの一人の食卓が多くなってしまった祖母と食卓を囲めるようなドレス《The Wishing Table》(2024)をつくりあげた。

津野と祖母の温かな関係性を感じさせる本作だが、いっぽうで実際に着せるには多大な労力がいるうえに、着る者には多くの制限を強いる。祖母の介護に立ち会っている津野ならではの、綺麗事だけではないケアの現実も本作は提示しているといえるだろう。




















