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「草間彌生 闘う女/絵を描く少女」(草間彌生美術館)開幕レポート。闘う女と描く少女のはざまで生まれた表現世界【2/5ページ】

 2階ギャラリーには、初期のドローイングやソフト・スカルプチュア、さらに1960年代後半のヌード・パフォーマンスやファッションを紹介する資料が展示されており、渡米後の草間による挑戦の軌跡を俯瞰できる構成となっている。

展示風景より、左上から時計回りに《花》(1953-63)、《A Flower #4》(1952)、《花頭》(1953)、《FLOWER X.P》(1953) (C) YAYOI KUSAMA

 女性器を花に見立てたドローイングは、その色彩やタッチから、性的なものに対する嫌悪感や恐怖心が表れているかのように感じられる。いっぽうで、その後制作された男性器を模したソフト・スカルプチュアは、数を増殖させ、おもしろおかしく展開することで、その恐怖を克服しようとする姿勢もうかがえる。

 とくに1970〜90年代に制作された《幻影の彼方(パーティー)》(1997)や《希死》(1975-76)には、増殖した男性器に従来の女性像を思わせる衣類や家具、調理器具などのモチーフが組み合わされており、男性から女性に対する支配的構造に一石を投じるフェミニズムアートの側面も持ち合わせていると言えるだろう。

展示風景より、壁面は《幻影の彼方(パーティー)》(1997)、《希死》(1975-76) (C) YAYOI KUSAMA
展示風景より、1960年代後半のヌード・パフォーマンスとファッションを紹介するドキュメンテーション (C) YAYOI KUSAMA

編集部