屋上階のギャラリーには、《明日咲く花》(2016)が展示されている。種苗業を営む旧家に生まれた草間にとって、花をはじめとする植物は身近な存在だったという。女性器を花に見立てて描いた初期のドローイングや、草間を象徴する水玉模様を経て、生き生きとした動きを感じさせる本作に至る。1階から順に草間の活動をたどってきた展覧会の締めくくりとして、本作はその世界観の象徴的に表している。

草間彌生の芸術には、「闘う女」と「描く少女」というふたつの顔が見て取れる。社会や制度への抵抗としての表現と、内面の世界をひたむきに描く姿勢。その両面は、闘争の手段であり、同時に自己表現の場でもあるといった、芸術が持つ多面性をも示していると言えるだろう。



















