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「草間彌生 闘う女/絵を描く少女」(草間彌生美術館)開幕レポート。闘う女と描く少女のはざまで生まれた表現世界【3/5ページ】

 先ほどの2階ギャラリーの展示を「闘う女」とするならば、3階ギャラリーの展示は「絵を描く少女」ととらえることができる。ここでは、アメリカから帰国した草間による2000年代の作品を主に展示。ブランコに乗った大きなバルーン作品《ヤヨイちゃん》(2013)が待ち構えるほか、いまなお描かれ続けるドローイングの数々が紹介されている。

展示風景より、3階ギャラリー。左は《ヤヨイちゃん》(2013) (C) YAYOI KUSAMA

 家庭環境や社会規範、病などによって思うように過ごせなかった青春時代を思い描いて制作された《ヤヨイちゃん》は、2階で紹介されていた性に対する不安や恐怖、そしてそれに抗う作品群とは異なり、明るく軽やかな姿を表している。同様にドローイングからも、長く草間が囚われてきた性に対するトラウマが、時間の経過とともに創作のなかで解かれていく様子がうかがえる。

 ここでは世界初公開となる2010年代の作品も展示されているため、ゆっくりとその表現や色彩の有り様にも注目してほしい。

展示風景より、3階ギャラリー (C) YAYOI KUSAMA

編集部