ミッドセンチュリー期(1940〜1960年代頃)のアメリカ・ヨーロッパ・北欧・日本などを中心に、世界各国の優れたデザイナーによって生み出された名作から知られざる作品までを紹介するイベント「TOKYO MODERNISM 2025」がスタートした。
4回目の開催となる今年は、都内各所を会場に「MODERNISM SHOW」(MUJI HOTEL GINZA)、「MODERNISM PERSPECTIVE」(ISETAN HOME ESSENCE)、「MODERNISM EXPERIENCE」(ATELIER MUJI GINZA)の3部構成で展開。今回は、全国から31のギャラリーやヴィンテージショップが集結し、MUJI HOTEL GINZAの客室を店舗として展示・販売を行うメイン企画「MODERNISM SHOW」の様子を取材することができた。
MUJI HOTEL GINZAは地下3階、地上10階建て。1から6階には「よく食べ、よく歩き、よく眠り、よく掃く」といった健やかな暮らしを提案する無印良品が併設されている。今回イベントが開催されているのは、7、8階の客室フロアだ。客室ということもあり、最初は足を踏み入れるのに戸惑うかもしれないが、中に入ればバイヤーたちが快く招き入れてくれる。


例えば、本プロジェクトの立役者でもあるインテリアブランド「IDÉE」の出展ブースを紹介したい。ここでは、フィンランドのデザイナー、アルヴァ・アアルトの代表的なスツールとともに、以前都内のイデーショップでも展開されたアプローチを引き継ぎ、「スペインの伝統と革新」という視点から、同地の家具やアーティストによる作品がキュレーションされている。
そもそも、ミッドセンチュリー期のスペインではどのようなデザインが育まれてきたのだろうか。担当者によると、当時のスペインではフランシスコ・フランコによる独裁的な長期政権が続いており、ヨーロッパ各地で起こったモダニズムに対し否定的な態度であったという。ここで出品されているDarro社のレザーチェアには、伝統的なレザーとモダンな造形が融合されており、デザインの仕立てから当時の社会的な風潮が読み取れるのもおもしろいポイントだ。



ほかにも、全国の様々なギャラリー・ショップが、各客室のスペースを生かして出品している。各店舗のコンセプトやバイヤーイチオシの商品、デザインの裏話などを聞いてみるのもおすすめだ。
参加ギャラリー・ショップは、PPP(青森)、FEM TRE NOLL(岩手)、(GARAGE) ガラージュ(群馬)、shiroyama(群馬)、BELLBET(埼玉)、北欧家具 tanuki(埼玉)、Archéologie Studio(東京)、BUILDING(東京)、CONTOUR(東京)、DEALERSHIP(東京)、Ditty Tools.(東京)、ELEPHANT(東京)、FILM(東京)、FUGLEN TOKYO(東京)、Graphio/büro-stil(東京)、LET 'EM IN(東京)、MICHIO OKAMOTO WAREHOUSE(東京)、Playmountain(東京)、Pocket Park(東京)、stoop(東京)、Swimsuit Department(東京)、IDÉE (東京)、SNORK MODERN AND CONTEMPORARY(山梨)、NOW(石川)、Ph.D.(長野)、NO AGE(愛知)、STILL LIFE(愛知)、northwood(京都)、YURA vintage(広島)、Blumo(福岡)、TRAM(福岡)。




なお、伊勢丹新宿本館にあるISETAN HOME ESSENCEでは、「今~未来における日本のモダンデザイン」にフォーカスし、これからのモダンデザインの在り方を提案する「MODERNISM PERSPECTIVE」も10月7日まで開催されている。
ミッドセンチュリーと呼ばれる時代からおよそ三四半世紀の時を経た現在。当時のモダンデザインは、いかに我々の生活に影響をもたらし、変化させてきたのか。そして、現代デザインはどのようにその影響を未来につなぐことができるのか。都内に集結したこれらの優品を目の前に、考えを巡らせてみるのもおもしろいだろう。






























