本展は、日本の理論物理学者・佐治晴夫による「世界のすべては一粒の光から始まった」という言葉に影響を受けているという。展示空間には、過去作から最新作までが同居し、2人が万物資生、そして佐治による言葉をどのように咀嚼し、またどのように日常の風景を眺めているかを知るためのピースとして点在している。
展示室入り口の階段を降りた先にある踊り場では、地球の重力をテーマとした「Attractive force」シリーズ(2025)、そしてイギリスの物理学者が唱えた「地球は大きな磁石である」という言葉に着想を得た「Magnetic field」シリーズ(2020)が配置されており、展覧会の導入を担っている。


さらに階段を降りると、目の前には巨大な岩が砕かれたような状態で設置されている。砂、石、岩を用いて制作されたこの《Timepiece》(2025)は、地球上にホモ・サピエンスが登場した20〜40万年前から現在に至るまでの膨大な時間を可視化することを試みているという。岩の上に置かれた砂時計からは、始まりから現在までの「時間の流れ」、そして現在から終わりに向かうまでの「時間の流れ」をも想起させるようだ。




















