「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」(資生堂ギャラリー)開幕レポート

銀座の資生堂ギャラリーで「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」がスタートした。会期は12月7日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部) 一部写真提供=資生堂ギャラリー

展示風景より、《Relation of the parts to the whole》(2025) 写真提供=資生堂ギャラリー

 東京・銀座の資生堂ギャラリーで「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」がスタートした。会期は12月7日まで。

 髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティスト。身近な素材を用い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに作品を制作している。作品は、数学や物理学的アイデアを背景に繊細な手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現されているのも特徴だ。

  本展を実現するにあたり、2人は昨年、静岡県掛川市にある「資生堂企業資料館」「資生堂アートハウス」を訪れ、資生堂の社名の由来である易経(えききょう)の一節「至哉坤元 万物資生(いたるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)に出会った。会場では、自分たちの自然観とも重なりあう「万物資生」の考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的・微視的にとらえ可視化することを試みている。

 2人は本展について次のように述べる。「“万物資生”をテーマに、2年かけて展覧会を実現した。科学的な要素の多い展示で、我々の日常に焦点を当てながら、宇宙と素粒子のようなマクロとミクロの視点を作品に反映している。(地球に最初の生命が誕生した)38億年にもおよぶ生命の情報が我々のDNAに刻み込まれており、展覧会を通じて、生と死の相互作用が循環を織りなしていることに注目してもらえたら」。

左から、髙田政子、髙田安規子

編集部