• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「色寂 irosabi」(銀座和光・アーツアンドカルチャー)開幕レポ…

「色寂 irosabi」(銀座和光・アーツアンドカルチャー)開幕レポート。日常の移ろいを表現する工芸の魅力に触れる【3/4ページ】

 20世紀の竹工芸の発展を体現した二代田辺竹雲斎の作品も数多く展示されている。伝統技法を巧みに組み合わせながら、精緻であると同時に大胆なフォルムを持つ、豊かなリズムが感じられる作品に注目したい。

展示風景より、二代田辺竹雲斎《大和路 鳳尾竹花籠》

 朝日焼十六世松林豊斎は、400年の歴史を持つ朝日焼の十六代目で、父より陶芸を学び作家活動を始めた。伝統的な技術をベースに、淡青色の月白釉や金彩などを組み合わせ、自然の移ろいをイメージさせる茶器が生み出されている。

展示風景より、右が朝日焼十六世松林豊斎《茶盌月白釉流シ》

 名尾手漉き和紙の七代目として家業を継ぎつつ作家としても活動する谷口弦。本展では和紙を使い「間」そのものを表現した平面作品「mukei」シリーズと、和紙の原料である梶の木の樹皮の繊維を結びつかせて構築した「KAGO」シリーズを展示している。

展示風景より、谷口弦《KAGO(03)》、《KAGO(02)》(ともに2025)

 廣谷ゆかりは高知を拠点とする陶芸家であるが、窯場やスタジオ周辺の植物を用いた作品の発表も行っている。会場では葛や藁、棕櫚を組み合わせた作品が展示されており、そのまま山に返しても不自然ではない、人の痕跡を消しすことに美を見出す作品となっている。

展示風景より、廣谷ゆかり《無題》(2022)

編集部