会場には伝統的な手仕事や匠の技に新しい視点を交えながら活動を続ける、職人やアーティストの作品が集められた。
まずは1階のショーウインドウにも展示されている本展のアイコン的存在、漆の技術を用いたタンブラー《SUITŌ》に注目したい。本作はtefutefuが手がけたもので、特徴となっているのはやわらかなフォルムと、漆の下地塗りの職人が仕上げたマットで強度のある質感。光の加減によって木の風合いが残るテクスチャの表情も様々に変化し、まさに「色寂」という本展のコンセプトを象徴する存在といえるだろう。

《SUITŌ》が載っている皿は、伊達冠石の採石と加工を行っている大倉山スタジオの手によるものだ。2000万年前に生成された玄武岩溶岩・火成岩である伊達冠石のもっとも大きな特徴は、表面と内部の表情がまったくことなること。表面は黄土色、錆色などとバリエーションが豊かであるいっぽう、内側は黒灰色となっており、年月とともに鉄錆色が強まっていくという。大倉山スタジオはこのコントラストを活かし、表面の色を部分的に残しながら、複雑な表情の皿をつくり上げた。




















