内藤は、渋谷周辺の再開発に約20年間携わっているが、その期間と同じくらい島根県益田市のプロジェクトにも携わっている。スクランブル交差点などがある人口密集地の渋谷と、過疎が進む益田。この両極端の性質を持つプロジェクトを、6階のホールスペースでは対比させることを試みている。
ここでは、渋谷と益田の街並みを約200分の1スケールで作成した模型を展示。建物の高さや密度に驚かされるほか、内藤が手がけた建築や都市開発が周辺地域においてどう位置づけられているのかもよくわかるものとなっている。


また、島根県芸術文化センター「グラントワ」や「東京メトロ銀座線渋谷駅模型」の約200分の1スケール模型も同様に展示。相反する環境で生み出されたそれぞれの建築物。日々これらの場所を利用する人々は、この都市空間の広域模型や建築模型を見て、どのように感じるのだろうか。


本展ではタイトルを「場外乱闘」とし、渋谷と益田を比較することをメインテーマに据えているが、その結論を内藤自身が示しているわけではないし、来場者に結論を出すことを促しているわけでもない。2023年の益田での大規模回顧展で実施したインタビューのなかで、内藤は自身の恩師である吉阪隆正より「人が生きること/死ぬこと」そして「そのために建築は何ができるのか」という問題提起を授けられたと語っている。50年にわたる建築人生のなかで、内藤はつねにその意味を自身の活動を通じて探り続けているようにも感じられた。該当インタビューはこちらからご覧いただきたい。
なお、関連企画として、7月25日には島根県石見地方の伝統芸能「石見神楽」の公演が渋谷ストリームの稲荷橋広場にて16:00/18:00の2回にわたって行われる。渋谷の中心で発生するこの「場外乱闘」も見どころのひとつと言えるだろう。また、28日には内藤による特別講演も実施予定のためこちらも要チェックだ。



















