第3章では、1975年に重要無形文化財の保持団体として認定を受けた「芭蕉布織物工房」が、いかにこの技術を守り継承してきたかを近年の作品を通じて紹介している。

喜如嘉の芭蕉布を未来に伝えていくため、同団体は養成事業の受け皿としての役割を担い、現在も精力的な活動を続けている。展示作品に現代の生活スタイルにあわせてつくられたものや、古典を応用した複雑な文様が見られるのもこの第3章ならではだ。


ほかにも、芭蕉布の良し悪しにも大きく影響する、糸づくりに関する資料もコラムとして展示されている。展示作品とともに、その工程への理解を深めることで、喜如嘉の芭蕉布がどのように制作され、どのような人たちによって守り伝えられてきたかといったリアルな視点も得ることができるだろう。
平良敏子というひとりの人物を発端に守り受け継がれ、現代の文脈に沿ってアップデートされていくこの「喜如嘉の芭蕉布」。「芭蕉布とはなにか」「沖縄ならではの気候や文化がどのように反映されているのか」「芭蕉布の現在地はどのようなものか」という観点から、作品を味わうことをおすすめしたい。

なお、同館では夏季期間中、様々なイベントが開催される。夜間開館や工芸に関する映像資料の上映会など、魅力的な企画が目白押しだ。詳細はぜひ公式ウェブサイトをチェックしてほしい。



















