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「喜如嘉の芭蕉布展」(国立工芸館)開幕レポート。沖縄の織物「芭蕉布」と、復興の立役者・平良敏子の歩みをたどる【3/4ページ】

 続く第2章では、平良敏子がいかに芭蕉布に制作技術を確立し、展開していったかに焦点を当てている。

 沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉に生まれた平良敏子は、岡山県倉敷市で染織に関する基礎的な技術を学んだのち、戦後、故郷に帰り芭蕉布の制作に取り組んだ。しかし、マラリアの蔓延防止を理由に米軍によって糸芭蕉の畑は焼き払われており、苗を育てるところからスタート。3年かけて育て上げることに成功した。

平良敏子
展示風景より

 その後、平良による真摯な姿勢と高い技術と表現力が周囲に受け入れられ、1963年には「芭蕉布織物工房」を開設した。74年には仲間たちと喜如嘉の芭蕉布保存会を立ち上げ会長に就任。そして同年には、喜如嘉の芭蕉布が国の重要無形文化財に指定され、平良がその保持者として認定された。

 展示室では、古典の研究を重ねた平良による確かな技とその作品、そして、既存の芭蕉布のイメージを一新するようなデザイン性の高い芭蕉布もあわせて展示されている。

展示風景より
展示風景より、手前は煮綛(ニーガシ)芭蕉布 裂地《九年母地 花織》

編集部