大宜味村喜如嘉保育所
旧塩屋小学校から車で10分ほどの場所にある、統廃合によって閉鎖された喜如嘉保育所。ここでは、チームやめようと麥生田兵吾が展示を行っている。

チームやめようは、09年に広島で結成された「やめたくてもやめられない」をテーマとしたアートチーム。今回は、メンバーが自分の運命を乗り越えるために、ギリシア時代の「アキレスと亀」のエピソードをもとに作成した10年前の映像作品《運命やめよう》を展示。映像とともに10年という歳月のなかで、亀はどこにいったのかを問いながら、改めて運命に抗う可能性を探るインスタレーションを展開した。

麥生田兵吾は「違い」に着目した写真作品を、保育所内に散りばめた。社会から人間関係にいたるまで、あらゆるところに存在するコントラスト、そこにあるようでない「線」についての思索が写真作品となった。

ほかにも、オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパで淀川テクニック、オクマ プライベートビーチ&リゾートで永井英男、辺土名商店街で伊藤彩が、カヌチャリゾートで椿昇が展示を行うなど、サテライト会場も数多くある。
総合ディレクターの仲程長治は本芸術祭について「地域の人々が毎年のものとして自然にとらえている芸術祭に育っている。開催者もアーティストも、そこに価値を見出している芸術祭だ」と、テーマである「山原本然(やんばるほんぜん)」と絡めて語った。参加アーティストたちの作品も、やんばるという場の自然や風土、人々から受け取ったことをそのまま反映している印象があった。来場者が作品を土地の空気ごと受け取ることができるような、理想的な「ゆるさ」が表現された芸術祭となっている。