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「やんばるアートフェスティバル 2024-2025」開幕レポート。土地の豊かさがつくった芸術祭【3/7ページ】

 旧小学校の各教室の特徴を活かした展示にも注目したい。放送室と視聴覚室では、心霊や超常現象などを手がかりに、現実と非現実の境目を探る冨安由真がインスタレーション《おとずれるもの》を展開。

展示風景より、冨安由真《おとずれるもの》

 冨安は小学校が面する塩屋湾で行われてきたニライ・カナイ(海の彼方から来る豊穣の神)を迎える祭り「ウンガミ」に着想を得て本作を制作。視聴覚室ではウンガミで行われる舟の競漕「御願バーリー」の掛け声とともに、蛍光灯がランダムに点滅する。また、放送室でも塩屋の海が部屋全体に広がる映像作品が映写される。古くから伝えられてきた伝承が、かつて子供たちが様々な映像や音楽を視聴したこの場所の記憶とともに現れる。

展示風景より、冨安由真《おとずれるもの》

 数々の工作が行われてきた図工室では、Chim↑Pom from Smappa!Groupが新作を発表。これまでもChim↑Pomが興味の対象としてきた「奈落(底のない地獄/歌舞伎舞台の下部空間)」をテーマに、店舗などで案内役として使われてきたロボット「ペッパーくん」を使ったインスタレーション《穴番/Who where what is プロトタイプ》を展開した。

展示風景より、Chim↑Pom from Smappa!Group《穴番/Who where what is プロトタイプ》

 本来の用途とはかけ離れたプログラムを施された「ペッパーくん」は「暗がり≒穴」となった図工室のなかで、周囲をサーチライトで照らし、ときに来場者の写真を撮影しながら、「なにか」を探し続ける。これは沖縄において、ときに戦争の記憶を呼び起こす「穴」「洞窟」といったキーワードとも結びつき、探すべきものの在処を来場者に問いかける。

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