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「やんばるアートフェスティバル 2024-2025」開幕レポート。土地の豊かさがつくった芸術祭【4/7ページ】

 調理室では、パフォーマンス、映像、インスタレーションなどを行う津田道子が《泡盛ラプソディ》を展開。寝かせることで熟成させる蒸留酒・泡盛に興味を持った津田は、酒造をリサーチするのなかでつくり手たちの身体性のおもしろさにも気がついたという。こうした酒造りにおける動きを映像や金属製の立体で表現しつつ、泡盛の製造工程などを黒板に記した。

展示風景より、津田道子《泡盛ラプソディ》

 アニメーション作家の中澤ふくみは、沖縄における「人間と道具」をテーマに、民具をモチーフとしたアニメーション作品《人と道具の相互作用》を家庭科室で上映。民具が日常のなかで繰り返し使われることに着目し、和紙に描いた絵による短尺のアニメーションを繰り返す。また、和紙に描かれた原画は重ねられ、物質として展示されている。

展示風景より、中澤ふくみ《人と道具の相互作用》
展示風景より、中澤ふくみ《人と道具の相互作用》

 浅田政志は、自らが撮るだけでなく、撮られることについてのおもしろさを問いかけてきた写真家だ。出展作《わたしのブナガヤ》は、観光地によくあるフォトスポットを模した作品。大宜味村にはブナガヤ(他地域ではキジムナーなど)と呼ばれる、妖精の伝説があり、やんばるの森に暮らしているとされている。このブナガヤをリサーチするうえで、戦前まではこのブナガヤを観察する小屋が大宜味村にあったことを知った浅田。子供を叱るときなどに使われたと推測されるこの小屋をモチーフとしたスマートフォン立てを用意し、来場者自らがブナガヤになって写真を撮るという体験を提供している。

展示風景より、浅田政志《わたしのブナガヤ》

 「沖縄グラフィックデザイナーズクラブ(OGDC)」は沖縄のグラフィックデザイナーたちが1983年に結成した集団だ。会場ではOGDCが、これまでに制作し、沖縄の人々の生活のなかに浸透していた多種多様な広告表現を展示。沖縄が経験してきた時代を映す鏡としての広告を、改めて学ぶことができる。

展示風景より、 「沖縄グラフィックデザイナーズクラブ(OGDC)」による「沖縄グラフィックデザイナーズクラス」

 学校の中庭にも作品が展開されている。園藝プロジェクト「Leggy_」は、植物の「流通/適応/自生」をキーワードに、沖縄を7日間旅をした。各地で集めた植物を素材に、海岸の漂流物や黙認耕作地の土を使って、給水タンクに「寄せ植え=チャンプル上」として《Leggy_Canpuru 2024〜》を作成。本来出会うはずがなかった植物たちが、生き生きと上空に向かって成長している様を見ることができる。

展示風景より、Leggy_《Leggy_Canpuru 2024〜》

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