UCCA陶美術館の運営モデルは、UCCA Duneと同様に、地元の運営者が主要な資金提供者となり、UCCAがコンテンツやプログラムの方向性を提供するかたちを取っている。このモデルにより、美術館は持続可能な運営を実現し、リスクを最小限に抑えながら質の高い展覧会やプログラムを展開することが可能となる。
今後は、中国国内外のアーティストを招き、宜興で滞在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスプログラムの実施が予定されているほか、景徳鎮をはじめとする中国内の陶芸拠点とのコラボレーションも企画されている。ティナリ館長は「陶芸と現代アートが交差する場所として、この美術館が実験的なプラットフォームとなることを期待している」と述べている。
いっぽうで、日中間の地政学的な緊張が高まるなか、日本のアートや陶芸に対して中国の鑑賞者はどう反応するのか。ティナリ館長は、今年北京のUCCAで開催された杉本博司展を例に挙げ、「政治的な状況が展覧会に影響を与える可能性があるため、慎重な対応が求められる」と語る。しかし、UCCAでは適切な手続きを経て、日中友好協会や地元政府の支持を受けながらプロジェクトを進めているという。
また、ティナリ館長は今回の「土の道」展について、「たんなる日本の陶芸展ではなく、グローバルな視点から現代陶芸をとらえるものだ」と強調。さらにUCCA陶美術館の未来について、「地域の教育プログラムやコミュニティ活動を通じて地域社会と密接に結びつくことを目指すと同時に、陶芸を現代的な文脈で探求する場として、国際的なアートコミュニティとの架け橋となることを期待している」と語っている。
伝統的な陶芸に焦点を当てつつも、現代アートとの新たな交差点を探るUCCA陶美術館。その試みは、宜興を起点に現代陶芸の未来を切り開く場として、今後ますます注目されるだろう。
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