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「北アルプス国際芸術祭」開幕レポート。山とともにある人々の歴史と文化を感じる【4/7ページ】

ダムエリア

 広く知られる黒部ダムのみならず、大小様々なダムが連なる大町市。近代化の象徴であり、また都市を支える地方という構図も浮かび上がるこれらの施設でも展示が展開されている。

 日本一の堤高を誇るロックフィルダム・七倉ダムでは磯辺行久が《北北西に進路を取れ》を展開。地域資源や環境計画などの調査を行う磯辺は、このダム周辺が北北西方向からの気候、水、自然環境に影響を受けやすいことに着目。川の流れや風の流れなどを吹き流しや、前回の芸術祭で地表に印した曲線とも組み合わせ、よりダイナミックな環境を出現させた。

展示風景より、磯辺行久《北北西に進路を取れ》

 ほかにもこのエリアでは淺井裕介が大町エネルギー博物館の外壁にサポーターたちと描いた巨大な壁画を表している。

源流エリア

 北アルプスの雪解け水が豊富に集まる鹿島川流域の源流エリア。歴史ある神社仏閣が集まっていることでも知られている。

 天照大御神が祀られる、鎌倉時代初期の創建と伝わる須沼神神社の境内にある神楽殿では、宮山香里がインスタレーション《空の根っこ ― Le Radici Del Cielo ―》 を展開。

展示風景より、宮山香里《空の根っこ ― Le Radici Del Cielo ―》

 空と大地のような相反するものの境界をモチーフに作品を制作する宮山は、神楽殿を聖と俗、常世と現世の端境として存在してきたと位置づける。今回は大地とつながる根と、天空の雲海を同居させ、神楽を吹き抜ける風になびかせ、移ろいを体現させた。

展示風景より、宮山香里《空の根っこ ― Le Radici Del Cielo ―》

編集部

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