2025年に迫る大阪・関西万博との同時開催を目がけて2022年より毎年開催されてきた民間主導の芸術祭「Study:大阪関西国際芸術祭」。その次回となる「Study:大阪関西国際芸術祭2025」が4月13日〜10月13日の会期で開催される。
25年のテーマは「ソーシャルインパクト」。大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア 、中之島エリア(大阪国際会議場)、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリアほかが会場となる(2024年8月時点)。
メイン会場となる安藤忠雄建築の大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム天保山)では、ドイツの研究機関であるInstitut für Kulturaustauschとともに「Reshaped Reality〜ハイパー・リアリスティック彫刻の50年〜」(仮)を開催する。同展はこれまでグッゲンハイム・ビルバオ(2016)をはじめ、世界各地で開催されてきたもので、日本での開催は初。過去50年におけるハイパー・リアリスティック彫刻における人間像の発展を展示することで、「人間とは何か。」を考察するという。参加作家はジョージ・シーガル、パトリシア・ピッチニーニ、ロン・ミュエクら10名が予定されている。
また、同芸術祭が立ち上げ当初から会場としてきた西成エリアでは、NPO法人「こえとことばとこころの部屋(ココルーム)」が運営する釜ヶ崎芸術大学や西成拠点のファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」と連携し、展示を展開。船場エリアでは、船場エクセルビルが主な会場となる。
いっぽう、大阪国際会議場では国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Arts Fair」を開催。同フェアは日韓国交正常化60周年を記念するもので未来志向の日本・韓国及びアジア圏での文化芸術の関係性構築を目的に、韓国で2016年に誕生した現代アートフェア「PLAS」と株式会社アートローグが共同主催となる。日韓共同開催のアートフェアはこれが初で、古美術から現代美術までを扱い、関西圏におけるマーケットの活性化を狙う。
25年は「瀬戸内国際芸術祭2025」、国際芸術祭「あいち2025」、「岡山芸術交流2025」など西日本で様々な芸術祭が予定されており、Study:大阪関西国際芸術祭2025を含めた、関西圏におけるアートツーリズムの活性化も見据える。
同芸術祭総合プロデューサーでアートローグ代表の鈴木大輔氏は、「160ヶ国の人々が集い、コミュニケーションできることが万博の価値。どこまでデジタル進化して人がも集うことは未来を考えるきっかけとなる。万博を含めて、この芸術祭に期待してほしい」と語る。
なお今回は資金調達手段として、大阪府松原市を窓口に企業版ふるさと納税制度を活用。企業からの資金調達を目指す。松原市長で万博首長連合会長を務める澤井宏文氏は「地域資源にはアートも含まれており、それを地方創生につなげたい。芸術には可能性があり、バックアップしたい」と強調した。