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ヘンク・フィシュ「法廷でのダンス」レポート。終わらない戦争のなかで

オランダのCODA美術館で、同国を代表するアーティストであるヘンク・フィシュの個展「法廷でのダンス(Dance in the Court of Justice)」が開催中だ。世界で戦争が止まないなか、フィシュが同展で伝えるものとは?

文=樋上まき

展示室内でのヘンク・フィシュ。左が《法廷のダンス》(2024) Photo by Sushilla Kouwen

 2023年に第13回ヴィルヘルミナ・リング賞を受賞したオランダ出身の参加ヘンク・フィシュ。同賞は、1998年から2年ごとに50歳以上のオランダ人彫刻家に授与されており、受賞者を称えるだけでなく、オランダの彫刻への関心を喚起することを目的としている。受賞者ヘンク・フィシュの作品が、6月23日までCODA美術館で開催中の展覧会「法廷でのダンス(Dance in the Court of Justice)」で見ることができる。

 フィシュによると、展覧会のタイトル「法廷でのダンス」は、19世紀末に始まった国際平和を希求する歴史に由来するという。1899年5月18日にオランダで第1回万国平和会議が開催され、そこにはヴィルヘルミナ・リング賞の名前の由来となったオランダのヴィルヘルミナ女王が出席した。この会議にはヨーロッパやロシア、日本を含む26ヶ国から100人以上の代表者が参加し、国際平和と軍縮に関する議論が2ヶ月以上にわたって交わされた。1907年には第2回万国平和会議が同じくオランダで開催され、国際平和の象徴として考案された平和宮の礎石が置かれた。現在、この平和宮には、国家間の平和を脅かす紛争を扱う国際連合の主要な機関のひとつである国際司法裁判所が置かれている。つまり、展覧会のタイトルにある「法廷」とは国際司法裁判所を意味している。

ヴィルヘルミナ・リング Photo by Sushilla Kouwen
展示風景より Photo by Sushilla Kouwen

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