マンションブラント「Brillia」を展開する東京建物株式会社が、ギャラリー事業に乗り出した。
同社はこれまで新築マンションの共用スペースでパブリック・アートを設置するとともに、18年からは公募展「Brillia Art Award」を実施。アートに関するプロジェクトを行ってきた。その新展開となるのが、かつてLIXILギャラリーがあった東京建物京橋ビル1階を改装した「BAG-Brillia Art Gallery-」だ。
同社執行役員住宅事業企画部長の大久保昌之は、「コロナ禍においてアートの重要性、存在意義が再認識されている」としつつ、このギャラリー事業について次のように意気込む。「アートに触れる機会の創出は豊かな生活につながる。八重洲・京橋・銀座はもともと豊かな文化性があるエリアでアートに造詣が深い人が集まる。誰もが気軽に立ち寄れるアートのふれあいの場となれば」。
同ギャラリーでは、公益財団法人彫刻の森芸術文化財団が企画監修として参加。同財団常務理事の玉木英二は、「『暮らしとアート』をテーマにプロジェクトのお手伝いをしたい。様々なジャンルのアートを提供することで、日常的にアートを感じ、感受性を高めて五感を解放する住まいの創出につながる企画を提案していく」としている。
ギャラリー空間はホワイトキューブで、2つの展示室から構成されている。銀座側の「+1(プラスワン)」ギャラリーでは現代美術や立体作品などの展示を想定。いっぽう京橋側の「+2(プラスツー)」ギャラリーは、壁面展示をメインとするスペースとなる。それぞれの入口が独立しているのも特徴だ。
こけら落としを飾るのは、松田崇哉と松田文登が2018年に創設した福祉実験ユニット「ヘラルボニー」による展覧会「ヘラルボニー/ゼロからはじまる」(2021年10月15日〜2022年1月23日)。
障害のある作家とライセンスを結び、様々なアート事業を手がけるヘラルボニーは様々なメディアで注目される存在だ。本展では、その創業までのストーリーを紐解くとともに、福祉施設が運営する「るんびいに美術館」在籍作家を中心とした原画や、アートネクタイなどこれまでに手がけた様々なプロダクトなどを展示・販売する。ヘラルボニーが東京での展覧会を行うのは今回が初めて。ヘラルボニー代表取締役社長の松田崇哉は「本展を通じ、福祉業界の分岐点にもなれば」と期待を寄せる。
「暮らしとアート」という普遍的なテーマを掲げてスタートしたBAG-Brillia Art Gallery-。今後の展開にも注目したい。