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マレットジャパンのオークションが開催。田中敦子の大型作品が出品

近現代の美術品を扱うマレットジャパンの最新オークションが、2020年2月28日の15時より東京・木場にて開催された。今回注目された作品の落札結果をレポートする。

 

オークション会場風景より、左が田中敦子《`94A》(1994)

 株式会社マレットジャパンによる近現代美術作品を扱うオークションが、2020年2月28日に開催された。総出品数は249点。

 今回のオークションで予想落札額の最高値をつけていたのが、具体美術協会のメンバーとして活躍し、国際的な評価も高い田中敦子の50号の大型作品《`94A》(1994)。1500万~2000万円の予想落札価格に対し、1500万円で落札された。

 また、ポップ・アートを代表するアーティストのひとり、ジャスパー・ジョーンズの代表作のひとつ《四つの顔のある標的》(1979)のエッチングによるエディション作品は、200万~300万円の予想価格に対し、400万円の高値をつけた。

 1971年に生まれ、32際の若さで夭折した難波田史男。約15年の活動期間で水彩画を中心に、油彩や版画など2000点を超える色彩豊かな作品を残した。本オークションでは水彩画やドローイングが複数点のセットで出品され、多くの入札を集めた。特に67年から73年の水彩を集めた4点セットは予想落札価格15万~25万円に対して4倍を超える110万円で落札された。

難波田史男《悲しみの花》(1967)、《作品》(1973)、《北国の住人》(1971)、《無題》(1967)の4点セットの落札画面

 オークションで高い人気を集めるロッカクアヤコは4点が出品。なかでも予想落札価格が600万~800万円ともっとも高かったのが、2018年に「Bright wind, another step」(Gallery Delaive、アムステルダム)で展示された100号大の大型作品で、800万円で落札された。予想落札額を大幅に上回ることが多いロッカク作品ではあるが、今回の出品作はどれも予想落札額の範囲内での落札となった。

 合成ボンドを使用した作品で知られる松谷武判は、吉原治良に評価され、具体の第二世代としてられるようになった作家。《Une goutte》(1984)は、ボンドの起伏に黒鉛を塗り重ねた作品で、400万~500万円の予想価格に対し540万円の高値をつけた。

松谷武判《Une goutte》(1984)の落札画面

 珍しいところとしては、82年にヴェネチア・ビエンナーレの展示作家となり、国際的な評価を得るようになった川俣正の作品を挙げたい。今回出品されていた《ベニスビエンナーレのプラン》(1982)は、同ビエンナーレのインスタレーションのマケットとして制作されたもので、たんなる試作品を超えた川俣の構築性をうかがえる貴重なもの。予想落札価格は60~80万円だったが、経年による変化が見られたためか落札額は43万円に留まった。

 今回のオークションの落札総額は1億7904万5000円。新型コロナウイルス感染症の流行のなかでも会場に足を運んだ参加者も多く、投機目的よりも好みの作品を手に入れたいという熱量を感じるオークションだった。

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