また、フロリアン・ガデンのキャンバス作品《oe》は、2019年の作品であるが、環境と私たちがいかに再び関係を結び直すことができるのかを問う“ホロビオント”の視点を提示し、人間中心的な世界観を逃れるエコロジーを思考する。ジャン=ルイ・ボワシエの《Crassula ubiquiste》は作家が1985年から世界中で採取したカネノナルキの挿し木であり、集合としての種の不死性と遍在性が問われる。


坪庭に置かれた井上佑吉の作品《Mille et une têtes》は、サンゴや貝がその彫刻の表面に覗く沖縄石灰岩からなった作品であり、沖縄戦で実父を失った作家のライフワークである。ジダーノワ アリーナの映像作品は作家自身の「私とは誰か」の問いであり、グローバル化(あるいはポスト・グローバル化)の世界を生きるあらゆる人々の言語と文化についての問いである。


本展は、人新世における根本的な問いとしての「技術」を、科学や工学の枠組みとは異なる「生に根ざした力」としてとらえ直す試みであり、多様な世代・文化的背景をもつ作家たちが、アートを通じて文明のあり方と生命の技法を再考する場となる。
会期中には、出展作家が登壇するオープニングトーク(12月12日)と、ゲストにアーティスト・福原志保を招いたクロージングトーク(12月27日)も開催され、作品理解を深める機会が提供される。



















