まちの記憶を呼び起こす体験
第5回の今年は、地元在住作家を主軸とする企画が一段と推し進められた。映像とデザインを融合し、様々なクリエイティブを行うコレクティブ「DRAWING AND MANUAL」は、2つのプロジェクトで参加。
そのひとつ、《TSUNAGU – 楽器の秘密基地》は、同コレクティブのメンバーで今年2月に白老へUターンした中谷公祐を中心に、同会社の会長・菱川勢一、サウンドデザイナーの清川進也によって制作された。町内で使われなくなった漁具、工場の端材、海辺の流木などを集め、さまざまな楽器に仕立てた。作品は子育てふれあいセンターすくすく3・9の庭に設置され、子供たちは時間を忘れて遊んでいた。流木のバチで浮きを叩けば予想外の音が響き、形の異なる端材を叩くと音階も生まれ、発見は尽きない。
「みなさんの『手』で演奏してもらうことでつながりを生み出し、素材たちが白老で過ごしてきた物語を体感してほしい」(中谷)。



もうひとつ「DRAWING AND MANUAL」が手がけたのは、町立図書館に保存されていた『竹谷重雄映像記録集』を再編集した映像展示『Time Travel Shiraoi』。元教員の竹谷と有志が1985〜98年に撮影した記録がDVD 化されており、700枚以上のなかから白老らしい瞬間を選び出した。再編集した映像は「祭り」と「暮らし」に分けられ、それぞれ約30分。祭りの映像には、人口がピークだった頃に行われた大昭和製紙の野球チーム優勝パレードやどさんこ祭りなど多彩な催しが記録されている。
「白老の人々のなかには祭りが息づいています。ハレの日を楽しむ心があるからこそ、ルーツ&アーツの開催にも、みなさんが力を貸してくれる。ピーク時より人口は1万人以上減りましたが、活気あるまちの姿を再認識することで、新たなにぎわいをどう生み出せるかを考えるきっかけになるはずです」(中谷)。




















