2017年から石川県金沢市で実施されている、国内唯一の工芸に特化したアートフェア「KOGEI Art Fair Kanazawa」。その第7回の開催が迫っている。会期は12月1日〜3日。会場はハイアット セントリック 金沢。
新進気鋭の若手作家の作品から世界で活躍する作家の作品まで、国内外のギャラリーが一堂に集結する同フェアは、茶の湯や禅、能楽など、様々な伝統文化が日常に根付く金沢のまちから「KOGEI」の魅力を発信し続けてきた。その知名度も回を重ねるごとに高まっていると言えるだろう。
今年は、初出展の14ギャラリーを含む、国内外40ギャラリーが参加(日本が32、台湾が7、韓国が1ギャラリー)。213名のアーティストによる作品が一堂に集う。工芸系のギャラリーのみならず、TARO NASUや小山登美夫ギャラリーといった現代美術ギャラリーが参加している点にも注目だ。
また今年の注目は豊富な特別プログラムだろう。会期初日の12月1日には、「国立工芸館とこれからの工芸-12人の工芸・美術作家による新作制作プロジェクトから」と題したトークセッションを国立工芸館共催のもと開催。同館館長・唐澤昌宏をモデレーターに迎え、陶芸家の新里明士と見附正康が登壇する。
12月2日には、アートコレクター・山本冬彦による講演「工芸のある生活-コレクションの楽しみ方」と、モデレーターに秋元雄史(東京藝術大学名誉教授)を、ゲストに作家の田中里姫、外山和洋、藤田和を迎えたトークセッション「Under 30の新たな潮流-Supported by 三菱UFJフィナンシャル・グループ」を実施。また3日には金島隆弘(金沢美術工芸大学芸術学専攻准教授)がモデレーターを務める「これからのアートフェア」に川上智子(多治見市文化工房ギャラリーヴォイス エグゼクティブディレクター)、小山登美夫(小山登美夫ギャラリー代表)が登壇する。
さらに今年は3つのプレミアム茶会も実施。いずれも国立工芸館が12人の現役作家とともに制作した器や茶道具を使った茶会だ。
1日には、金沢漆器や蒔絵を扱う創業240年以上の老舗漆器店の主人・岡能久が、金沢の伝統的な茶会をオーガナイズ。会場は金沢の有名な茶人であり茶道具コレクターであった造り酒屋の自宅を移築した旧中村邸だ。茶会のあとは、点心(茶会で出される簡単な食事)と金沢の伝統芸能も楽しめる。
3日には、コンクリート打ち放しの静謐かつ重厚な安藤忠雄建築「西田幾多郎記念哲学館」で、夜間に茶会が行われる。席主は三浦史朗(建築家)、中村卓夫(陶芸家)、浦淳(建築家)。ホワイエには六角屋がプロデュースする移動式の四畳半茶室を設置し、わずかな音と光のなかで茶の湯を堪能してほしい。
なおフェア会場でもあるハイアット セントリック 金沢では、茶道家・奈良宗久が席主を務める茶会を2日と3日にあわせて8回実施するので、フェアの合間にぜひ体験したい。
さらに今年はアーティストの工房訪問プログラムとして、手びねりでつくった磁器に、立体絵画や肉筆浮世絵のような手法で九谷焼を制作する牟田陽日の工房訪問も可能。作品が生まれる背景を垣間見ることができる貴重な機会となりそうだ。なお各イベントの詳細は公式サイトから確認してほしい。