チャットGPTをはじめとするAIチャットサービスが大きな話題を集める今年、AIによる画像生成の技術も加速度的に進化している。そんななか、パルコが画像生成AIを駆使したファッション広告を制作・公開した。
「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」と題されたこの広告は、ロサンゼルス在住の木之村美穂(STUDIO DOG代表)をクリエイティブディレクターに迎え、デジタルクリエイターには同地で活動するAI・デジタルクリエイター「Ai- Editorial – Christian Guernelli」を日本企業で初めて起用している。
同広告では、最先端の画像生成AIを駆使して実際のモデル撮影を行わず、人物から背景に至るまですべてがプロンプト(画像を生成するための言葉)によって構成。グラフィックに登場したAIモデルたちを取り巻く空間がどんどん広がり、不思議な世界が現れるムービーのほか、パルコ社員の声を含む、複数の女性から声のサンプリングをし、AI技術を使って制作したナレーションなども生成AIによって作成している。
一見実際に撮影したかのようにリアルな、世界で注目されるAIクリエイターによるモード感のある新しい表現のファッション広告は、パルコのホリデーシーズンを盛り上げるだろう。
今回の取り組みについてパルコは、「新しい才能を見出し起用するのと同様に、まだ前例のない新しい技術をいち早く取り入れることも、企業としての存在意義であると考えている」とし、次のように述べている。
「制作する過程で、プロンプトの設定や、つくられたものからより良いものを選出する行為において、逆に人間が行うことの重要性を感じた。結局、人間の審美眼を通して制作し、それを見て素敵だと思うのも人間。その人間の能力を拡張するツールとしてのAIの可能性を感じた経験となった」。
進化を続けている画像生成AI技術。それにより、世の中はいかに変化していくのか、またパルコの広告はクリエイティブ業界にどのようなインパクトをもたらすのか、引き続き注目したい。