まちの深みにはまるアートプロジェクト「すみゆめ」スタート。“北斎”“隅田川”がテーマの多彩な企画をほぼ毎週末楽しめる

葛飾北斎、そして東京を代表する河川・隅田川にちなみ、各分野で活躍するアーティストと市民主体の多彩な企画を4ヶ月にわたって展開する「隅田川 森羅万象 墨に夢」。このアートプロジェクトのメイン期間が9月1日にスタートした。12月25日まで約4ヶ月にわたり、全18プログラムがほぼ毎週末行われるというこのプロジェクトの詳細を紹介する。

ファスナーの船 参考画像

 「隅田川 森羅万象 墨に夢(通称:すみゆめ)」とは、9月1日~12月25日をメイン期間としたアートプロジェクト。世界に知られる葛飾北斎の世界観と、東京を代表する河川「隅田川」にちなみ、様々な分野で活躍するアーティストと市民主体の多彩な企画が4ヶ月にわたって展開される。

 舞台は、隅田川親水テラス、墨田区の街なか。それら区内各所でほぼ毎週末にわたってワークショップ、お祭り、演劇やパフォーマンスなど全18のプログラムが行われる。その詳細を紹介していこう。

さくらばし輪をどり 参考画像

 まずは、北斎の《踊行列図》にならって、集い、歌い、踊り、楽しむ「すみゆめ踊行列」。この交流プログラムのひとつで9月22日に行われる「さくらばし輪をどり」は、隅田川に架かる桜橋で、誰もが楽しめる「古くて新しいかたちの盆踊り」を展開するというもの。「東京音頭」や「炭坑節」などを生楽団が演奏し、様々な歌い手が歌唱し、大ヒット曲で踊る「メガヒッツ盆」のコーナーも。岸野雄一、ケケノコ族、珍盤亭娯楽師匠、にゃんとこ、モノガタリ宇宙の会らが出演する。

 もういっぽうの、9月29日に行われる「影絵:水と油の輪っかっか」では、インドネシアにて伝統的な影絵人形芝居「ワヤン・クリット」と伝統打楽器「ガムラン」を学んだアーティストの川村亘平斎による新作影絵を公演。すみだの地に根ざした「水」と「油」をモチーフにした物語が編み出され、近隣の子供達たちが影絵の制作に関わり、披露する。

どんどこ!巨大紙相撲大会 参考画像

 身長180センチという巨大な紙相撲大会が楽しめるのは、10月13日に開催される、美術家ユニットKOSUGE1-16による参加型プログラム「どんどこ!巨大紙相撲大会~両国すみゆめ場所」。ダンボールでできた巨大力士がすみだの4つの部屋(東向島・キラキラ橘・東駒形・亀沢)から勢ぞろいするというこのイベントは誰でも参加可能だ。

 注目は、水面をキャンバスに航跡波を描きながら進む様子を、金具をスライドして布を開くファスナーに見立てた、鈴木康広の《ファスナーの船》。昨年、隅田川での航行が大きな話題を呼んだ《ファスナーの船》を今年も11月2日〜10日に見ることができる。その実施に向け、木下直之(静岡県立美術館長、東京大学名誉教授)、陣内秀信(建築史家、法政大学特任教授)、西尾美也(アーティスト)らを迎えた連続トークイベントも開催。日常の風景を変え、ものごととらえ方を考えさせるアートの力を掘り下げる。

ストリートピアノすみだ川2019 参考画像

 このほか公募による「プロジェクト企画」として、かつて森下の近くに流れていた川「六間堀」への理解を深めながら、「六間ロール(巻き寿司)」をつくる「みんなで作ろう 六間ロール」、隅田川テラスでピアノを奏でられる「ストリートピアノすみだ川2019」、両国・錦糸町界隈に点在するギャラリーやアートスペースをリサーチしてマップを作成する「両国・錦糸町ぶらぶらアートマップ作成プロジェクト」なども実施。旧中学校がお江戸のまちにかわる「江戸に浸かる。~咲く・跳ねる・感じる~笑みに夢」、和田永とNicos Orchest-Labを講師に迎えた「NICOSシマシマ百鬼夜行」のほか、弘前ねぷたを招聘する「北斎祭り」には、マンガ家・しりあがり寿アイデアの創作ねぷたも登場するなど、各種祭やミュージカルなど盛りだくさんの内容になっている。

北斎祭り 参考画像

 見る・聞く・味わう・参加する。あらゆる表現を行う人が集い、つながりながら、この地を賑やかに彩っていく「すみゆめ」プロジェクト。各プログラム日程など詳細をウェブサイトでチェックし、秋〜冬の下町風情を感じながらイベントを楽しんでほしい。

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