「ジャポニスム 2018」は、パリ市内外で日本の美術や文化を展覧会、演劇、伝統芸能などによって展開する、日仏合同の一大プロジェクトだ。
展覧会では、国宝の火焔型土器をはじめとする縄文土器を紹介する「縄文展」から、伊藤若冲の最高傑作とも言われる《動植綵絵》を見せる「若冲—〈動植綵絵〉を中心に」、国内外で精力的に活動するチームラボの「視覚のない世界」展、そして日本のアニメ・マンガ・ゲームを「東京」をキーワードに紹介する「MANGA⇔TOKYO」まで、幅広い企画がラインナップ。多種多様な日本の文化を紹介する、かつてない試みとなっている。
この「ジャポニスム 2018」の開幕式が、7月12日にパリ市内の文化施設ラ・ヴィレットで行われた。
式典には当初出席予定だった安倍晋三総理大臣に代わり、河野太郎外務大臣が登壇。フランスのフランソワーズ・ニッセン文化大臣とともにスピーチを行った。
河野大臣は「例えば北斎の浮世絵がゴッホに影響を与えたように、かつての日本とフランスの橋渡しをしたのは文化であったことは、特筆すべきこと」とし語り、「日仏は文化を通してお互いを高め合い、価値観を共有してきた」と、文化が両国をつなぐ鍵であることを強調。
一方、ニッセン大臣は「ジャポニスム 2018」を「両国友好の中核のひとつでもある」と位置付け。「日仏二つの想像力の出会いであり、両国のアイデンティティと他にはない創造性を示すものになる。今日のような混沌とした時代において、両国が果たす主たる役割のなかで文化は非常に重要な位置を占めています」と語った。
先行して始まったチームラボ「視覚のない世界」展が連日2000人以上の来場者を記録(週末は4000人)するなど、「ジャポニスム 2018」はすでにパリで話題を呼びつつある。
日仏の専門家を含む日仏合同委員会を設置し、10回以上の会合を重ね、すべてのプログラムを練り上げてきたという「ジャポニスム 2018」は、日本政府が「文化外交元年」の核と位置付けるプロジェクト。本プロジェクトが国際交流における文化の重要性を示すものとなることに期待したい。